リハビリテーション科脳卒中の症状

脳卒中の症状

片麻痺

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一般に大脳で損傷を生じた場合には反対側の麻痺を生じます。つまり、右脳が損傷されれば左側の麻痺が、また、左脳では右側の麻痺を生じる。麻痺は一般には顔面、のど、上肢、体幹、下肢すべてに及びます。また、下肢に比べて上肢に障害は残りやすく、その回復はすべて同じ速さでおこる訳ではありません。 右利きのひとでは大きな脳梗塞での右片麻痺では失語症、左片麻痺では左半側空間失認といった高次脳機能障害を合併しやすく、リハビリで支障をきたすことがあります。

感覚障害

脳卒中の症状脳卒中の症状

片麻痺と同じく損傷を受けた反対側に感覚の障害を起こします。感覚障害もさわってもほとんど分からないという重度なものから少し鈍いという軽いものまで千差万別です。また人によっては数ヶ月してからしびれ感が悪化する場合があります。また、その障害部位により特殊な分布や感覚異常を生じることがあります。たとえば視床という脳の特殊な場所が障害されるとひどい痛みとなったり、口の周りと手だけがしびれるというような特殊な症状(口手症候群)が出ます。

失語症

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失語症とは何らかの原因で大脳の言語野に障害をきたし、その結果言語の理解と表出の障害をきたした状態を言います。 言語の機能である話す、聴く、書く、読むというすべてにわたり障害を認めます。様々な型がありいくつかの分類があります。 失語症患者への接し方は外国人とコミュニケーションをとるときを思い浮かべてください。

  • *ゆっくりとわかりやすくしゃべる。
  • *要点を繰り返す。はっきり分かったかどうか念を押す。
  • *リラックスさせて会話に集中させるなど

失語症の分類

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失語症の患者の状況は、言葉がうまくしゃべれない国に突然行ったときのような状況を思い浮かべてもらえればその状態は想像されると思います。つまり、一般的な記憶、判断力、知識はあるが、コミュニケーションが十分にとれないためにそれを活かせないという状況に近いと思われます。しゃべれなければということで五十音表を持ち出す方もいますが、言語そのものが崩れており、日本語では特にかなの方が苦手となりやすいためこれはあまり意味がありません。(日本人にアルファベット表を差し出して英語でしゃべれといっているようなもの)それでは身振り手振りでと思われるかもしれませんが一般に失語症ではジェスチャーも障害されていることが多く、残念ながら困難です。

復唱障害あり復唱障害なし
非流暢型Broca失語
全失語
超皮質性運動失語
混合型超皮質性失語
流暢型Wernicke失語
伝導失語
超皮質性感覚失語
健忘(失名辞)失語

半側空間失認

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半側空間失認とは空間の認知障害を生じ、大脳病巣の反対側の刺激に反応せず、そちらを向こうとしない症状を指します。右半球の脳卒中の約40%に見られるのですが、左半球の場合はまれで早期にあっても消えてゆきます。ということで大部分は左の半側空間失認として症状が現れます。典型的な症状は、食事のときに左側の皿に気づかず手をつけない、車椅子のブレーキをかけ忘れ転倒する、移動時左側の物にぶつかるなどの症状が見られる。これは半盲と呼ばれる視覚的に見えないという状態とは異なり、見えていてもまさに無視してしまう状態です。機序としては諸説ありますが、方向性注意に関する脳の左右での機能差を想定する説が有力です。すなわち、右の脳は左右の両方に注意を向ける力を持ち、左の脳は右にしか注意が向けられない。このため右の脳が障害されると左側が分からなくなるとされています。

注意障害

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注意障害とは外界や自分のことへの集中度をうまく配分して保てない状態のことをいいます。注意は「選択」「持続」「分配」「転換」の要素からなります。たとえば、「選択」「持続」の面での障害ではじっと静かにひとつのことを集中して考えたり、行動することができなくなったりします。「分配」の障害では他のことに注意を払いながら、別のことを行うことができなくなります。「転換」の障害では行動をうまく切り替えて別のことを行えなかったりします。 これらのことから、日常的な作業を効率よくうまくこなしたり、学習することが困難となります。

前頭葉症状(遂行機能障害など)

脳卒中の症状脳卒中の症状

前頭葉症状は狭義には前頭前野と呼ばれる部位の障害で起こるものを呼びますが、一般にはもう少し広い範囲で前頭葉という部位が障害された状態を指します。その症状として易疲労性、自発性の低下、物事を計画して実行することのできない遂行機能障害、運動開始の困難、保続と呼ばれる同じことを繰り返してしまう現象などによる行動障害、感情のコントロールが困難となる情動障害、記銘力障害、作話、把握反射などの症状が出現します。問いかければ答えるが自ら話すことは少なく、誘導しなければじっとして動かないという重度のものから、一見病前と変わりはないが、新しいことをおぼえることができない、物事の手順がうまく行えない、誘導しないと自分でやらずサボっていると思われるというものまで様々です。しかし、程度が軽そうでも社会的な行動をうまく行うことができないためにしばしば、復職が困難となったり、誰かがいつもついていなければならない状況に陥ることが多く、周りが困窮することが多々あります。

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