ごあいさつ
近年、患者さんに使用するくすりは、分子標的薬を代表とするように高度化・高額化し、より専門的な知識や費用対効果が今まで以上に求められる時代となりました。薬剤師の仕事もそれに伴って、より専門的な知識が必要となり、院内院外を問わず医薬品安全使用に関わる貢献が求められています。また、国策として後発薬が普及したことにより、同一成分でありながら医薬品名が異なる薬が存在し、患者さんが理解しにくい状況です。私たち玉川病院の薬剤師は、そういう時代の中で患者さんや社会のニーズに応え、薬剤師一人ひとりが患者さんのことを考えて仕事に取り組んでいます。患者さんにもっと薬剤師の仕事を知っていただき、薬剤師をうまく活用していただけたらと考えています。薬のプロフェッショナルとして患者さんに寄り添っていきますので、お薬についてお困りのことがありましたらいつでも薬剤師にお声かけください。
薬剤科長 小倉 敬史
外来患者さんへ
当院は、院内で調剤してお薬をお渡ししています。
近年、外来通院で必要となる薬は院外の保険薬局で受け取る仕組みになっていますが、当院では薬剤師が院内で調剤しお渡しします。院外処方箋をご希望の方は、診察室で医師にお申し出ください。外来でのお薬受け取りまでの待ち時間は平均20分程度です(処方された薬の内容によっては待ち時間が前後することがあります)。
院内処方箋は、医師が電子カルテで処方を入力すると、薬剤科内で発行される仕組みとなっています(オーダリングシステム)。患者さんごとにお薬を取り揃え、投与量や飲み方、重複投与、飲み合わせなどのチェックを行ってからお渡しします。毎日の薬の服用に不安のある方には、ご希望により服用時点毎に錠剤を一包化してお渡しします。
院外処方を希望される方には院外処方箋を発行しています。
FAXコーナー(EPARKくすりの窓口 from メディカル)を設置していますのでご利用ください。
【詳細はこちら】EPARKくすりの窓口 from メディカル(院外サイト)
外来診療における専門的な薬物治療を支援します。
【抗がん剤治療中の患者さんへ】
医師の診察に合わせて薬剤師が面談し、医師と協働して最適な薬物治療や支持療法を選択します。それぞれの専門知識を出し合って、患者さん個々に最適な治療を検討します。治療の疑問点や困ったことがあったらいつでもご相談ください。また、使用する点滴は薬剤師が無菌的に安全キャビネットにて混合・調製し、より安心安全な注射薬を提供しています。
【がんによる痛みのある患者さんへ】
医師の診察に合わせて薬剤師が面談し痛みの状態を確認します。また、医療用麻薬の飲み方や注意事項について説明し、服薬に対する不安を解消します。がんによる痛みやその治療について疑問点があれば、お気軽に薬剤師にご相談ください。
【腎臓病患者さんへ】
医師、看護師、管理栄養士、薬剤師が協働して包括的な患者説明を行っています。薬剤師は、投与計画、投与量の確認、服薬説明などを通じて安全な治療に関わっています。
【手術を予定されている患者さんへ】
現在は、全人工股関節置換術など整形外科の患者さんが対象です。入院が決定した患者さんは、現在服用中のお薬の内容を確認しますので、外来受診時にお薬手帳を持参してください。
入院患者さんへ
入院中に使用する薬を調剤します。
外来での調剤と同様にオーダリングシステムを利用して調剤します。異なる点は、入院中の処方薬と持参された薬をチェックして調剤しているところです。近年、国は医療費増大の解消に向けて後発薬の導入を進めています。先発薬と後発薬は成分が同じでも名称が異なります。誤って同じ薬が処方されないようにするため、必ずお薬手帳をご持参ください。
入院中に使用する注射薬については、1回施用ごとに調剤します。注射薬を輸液と混ぜ合わせることで起こる配合変化や、薬が相互に悪影響を及ぼす組み合わせがないか確認しています。また、患者さんの生理機能の違いによって効果の増強を回避したり、適切な使用量かチェックしています。
抗がん剤注射薬を無菌的に混合・調製します。
使用する抗がん剤は無菌的に安全キャビネットにて混合・調製し、より安心安全な注射薬を提供しています。
患者さんのベッドサイドへ薬剤師が薬の説明に伺います。
病棟毎に薬剤師が常駐し、処方されたお薬についてどんな効果があるのか、副作用の初期症状、服薬にあたっての注意点の説明を行います。また、検査値、カルテ、患者さんの訴え等から、適切に治療が進んでいるか確認しています。直接お話できない患者さんの場合にも、服薬歴や処方歴、検査値を確認して、より適切で安全な治療が選択されているか薬剤師の立場からチェックしています。
持参したお薬の内容を確認します。
入院時に持参したお薬について薬剤師が調べて報告書を作成し、医師・看護師へ伝達します。お薬手帳やお薬説明書は入院治療に欠かせない情報です。特に他院で処方されている場合は、忘れずに持参してください。
これまでに経験した副作用やアレルギー歴を確認します。
入院中に安心して治療を受けられるように、これまでに経験した副作用や薬によるアレルギーを確認します。お薬手帳にも記入してください。
薬の投与量設計を行います。
薬の中には少しの匙加減でも効果が強すぎたり、弱すぎたりする薬があります。そのような薬は、患者さん一人ひとりに合わせて使用量の微調節が必要です。薬の血液中の量を測定し最適な使用量や使用方法を提案しています。
様々な医療チームに参加し、より良い薬物治療に貢献します。
当院では、主治医とは別に様々な医療チームが治療をサポートしています。薬剤師は、緩和ケアチーム、慢性腎臓病チーム、感染対策チーム、抗菌薬適正使用チーム、栄養サポートチーム、褥瘡チームなどに参加し、各医療チームの中で使用する最適な薬物治療を支援しています。
他にも様々な仕事を通して患者さんを支えます。
最新医薬品情報を収集・管理し、医薬品の安全使用体制の整備を行います。
日進月歩の医薬品情報を一元管理し、緊急性のある情報は迅速に医師・看護師へ伝達します。また、毎月院内報として「薬剤科ニュース」を発行し、採用薬の追加情報などを周知しています。その他、院内の医薬品の使用状況や副作用を収集・分析して医薬品の適正使用に活用しています。医薬品を病院で安全に使うには、使う側の知識や技術が必要です。適切に薬を使う体制、誤使用されない体制を整備しています。
院内製剤を調製しています。
製薬会社から販売されていない薬や処置薬等を患者さんに使用する場合、院内で調製することがあります。調製にあたっては、院内の倫理委員会で承認を受けた上で調製します。製剤によっては高圧蒸気滅菌機による滅菌処理やクリーンルーム内で無菌操作にて調製します。これらの製剤化にあたっては「品質、有効性、安全性」への配慮を充分に行います。
院内の医薬品1400品目の薬を管理しています。
病院内で使用する医薬品の発注・在庫管理、麻薬・向精神薬・毒薬等の法規制医薬品の管理、手術に使用する薬剤個別セット、手術室内での麻薬・毒薬などの管理を行っています。
患者教室の講師を担当しています。
糖尿病教室、腎臓病教室、心不全教室、呼吸器ケア教室、両親学級などの講師を担当しています。