腎臓内科当科について

外来診療担当医表


時間帯
午前
受付時間:08:30〜11:30
診療開始:09:00〜
林 俊秀予約制
診療なし
林 俊秀第3以外 予約制
午後(予約のみ)
受付時間:12:30〜15:30
診療開始:13:00〜
診療なし 診療なし 診療なし

休診・代診のお知らせ

日時
2024/06/22 (土曜日)
時間帯
終日
外来
腎臓内科
医師
休診・代診
休診・代診なし

透析センター担当医表


時間帯
09:00〜15:00
高橋 康訓
今村 吉彦
常喜 信彦
(東邦大学大橋病院)
高橋 康訓
今村 吉彦
今村 吉彦
15:00〜21:00
高橋 康訓
診療なし
非常勤医師
(東邦大学大森病院)
診療なし
非常勤医師
(東邦大学大森病院)
診療なし

玉川CKD対策ネットワークについて

慢性腎臓病(CKD)とは、尿に蛋白や血液が混じるか、腎臓の働きが正常の60%未満(eGFR<60mℓ/分/1.73㎡)に低下している状態が3カ月以上経過する腎臓病の総称で、わが国のCKD患者数は約1300万人と推定され非常に頻度が高い疾患です。
国の政策として厚生労働省のもとに「腎疾患対策検討会」が発足し、腎疾患重症化予防、透析導入遅延、循環器合併症の発症抑制を目標にかかげ、平成30年に腎疾患対策の更なる推進のための方向性がまとめられました。それによりますとCKD重症化予防のため、特に地域の診療体制の充実がかかげられ、実施すべき取り組みとしてかかりつけ医と医療連携体制の構築の推進が示されております。すでに目黒区医師会、世田谷区医師会ではCKD対策ネットワークが発足し啓発活動を開始しております。

このたび玉川医師会からご後援をいただき玉川CKD対策ネットワークが発足しました。この活動の主な目的は、CKDの早期発見、早期治療に向けて特定健診後の受診勧奨など、区民への啓発活動やCKDに関する診療・研究の情報交換を通じて、腎臓専門医とかかりつけ医の連携を強化することによって、玉川医師会エリアにおけるCKD治療の均霑化と透析導入患者数の減少を目指すことです。
かかりつけ医と腎臓専門医の双方で診療(2人主治医制)する病診連携を基本に、さらに地域の看護師(保健師)、薬剤師、管理栄養士、腎臓病療養指導士の方々とも連携するネットワークを構築し、CKDの進行抑制、悪化防止につなげたいと考えており、また玉川地域のみならず、目黒区、世田谷区のネットワークとも連携を深めCKD診療を充実させていきたいと考えております。

当ネットワークでCKD連携ガイドを作成しました。専門医・専門病院への紹介基準、かかりつけ医で行う治療のエッセンス、目黒区・世田谷区の腎臓専門医のいる病院を載せておりますので是非ご活用いただければ幸いです。この連携ガイドにつきましては、本ホームページからダウンロードすることが出来るようにいたしました。

今後とも玉川CKD対策ネットワークへのご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。なお、御不明な点は、事務局:日産厚生会玉川病院 地域連携室にお問い合わせください。

玉川CKD対策ネットワーク 役員
代表世話人:今村吉彦(日産厚生会玉川病院)
世話人  :高橋 樹(たてき内科クリニック)、加藤朋子(とも内科クリニック)
会計   :竹場和代(日産厚生会玉川病院)
監事   :菅澤正明(菅澤医院)
顧問   :早川 宏(関東中央病院)
事務局  :日産厚生会玉川病院 地域連携支援室 TEL 03-3700-2779
                        FAX 03-3700-1330

当院の中村理恵:透析センター看護師長が、第29回日本腹膜透析医学会学術集会(2023年9月30日開催地:東京)にて”優秀演題賞”を受賞しました。

第29回日本腹膜透析医学会学術集会“優秀演題賞”。

【演題】当院におけるassisted PDの現状と普及に向けた検討

【目的】透析医学会の調査によると、透析導入患者の平均年齢は71歳であり高齢化が進んでいる。患者の高齢化にともない腹膜透析(PD)を自身で実施できる患者は減少傾向となり、家族や訪問看護師によるassisted PDが必要となる症例が増加している。当院でassisted PDを導入した患者の現状と課題について報告する。
【方法】当院の過去10年間50名を対象にassisted PDをおこなった件数を調査し、訪問看護を導入した症例よりassistedPDにおける今後の課題を検討した。
【結果】PD患者50例のうち、家族によるassisted PDが必要な患者は52%で、訪問看護利用率は44%、直近20例では訪問看護利用率は65%と増加率は加速していた。症例では、バッグ交換が一日1回注排液の2回のため訪問看護師を利用した場合、導入時は特別訪問看護指示書を利用し金銭的負担を軽減しながら行えていたが、その後は月に14万程度の自己負担金が発生していた。
【考察】PDを導入する患者は生活背景や自立度も様々であり、assisted PD はPD普及のためにも不可欠である。しかしながら、本邦では、assisted PDに携わる医療者は主に医師や訪問看護師に限られており、介護職は介入をすることができず有効活用ができているとは言えない。そのため、より多くの社会資源の利用がきるよう規制緩和への検討が必要と考える。

当院の高橋真理子:臨床工学技士が、第28回日本腹膜透析医学会学術集会(2022年11月26日開催地:岡山)にて”コメディカル賞”を受賞しました。

第28回日本腹膜透析医学会学術集会“コメディカル賞”。

【演題】臨床工学技士の腹膜透析業務~知識・技術の習得を目指して~

【背景・目的】近年、自動腹膜灌流(APD) 装置における遠隔モニタリングの普及により、臨床工学技士(CE)の活躍が期待されている。一方で診療報酬改定により腹膜透析(PD)+血液透析(HD)併用療法に関してPD非導入施設での併用治療が容易となりCEがPD患者に関わる機会が多くなると予想される中、CEの役割としてAPDだけでなくCAPDを含むPD療法全般の知識を深める必要性が求められている。そこで当院におけるCEのPD業務を再考し、PD全般の知識・技術の習得について検討したので報告する。
【方法・結果】当院のPD業務をリストアップし、CEのPD業務の多くはAPD関連でありCAPDは関わりが少ないことが明確化した。CEを対象に行った意識調査においても、PDとの関わりが少なく知識・技術の習得は難しいという意見が多かった。そこでPD業務拡充の一環として腹膜平衡試験 (PET)のスケジュール作成、検査概要や注排液の手技説明、排液検体の採取、データ解析の業務をCEが中心となり行った。一連のPET検査を行うためには、PDの原理、処方内容や手技について理解・把握することが必須でありPD療法全般における理解が深まった。さらにCEの視点に変化が見られ、PD+HD併用療法においてもより深く考えられるようになった。
【まとめ】CEのPD業務拡充は知識・技術の習得だけでなく、CEの意識の変化につながった。今後はシームレスな多職種連携が可能となるよう、CE育成のカリキュラムや業務の確立が望まれる。

第15回 腎臓病教室(Web講座)のお知らせ

当院ではCKDに関する啓発活動として2007年から毎年1回腎臓病教室を行っており2020年第14回まで行っておりましたが、このコロナ禍で2021年は多くの方が参加する本会を中止せざるを得ない状況となりました。

そこでこのたび、第15回をWeb講座として玉川病院ホームページから発信することといたしました。

Web講座ですので、よく理解できなかった点を繰り返して視聴したり、聴きたい項目を選んで(分割して)視聴していただくことが可能です。

腎臓病に興味のある方、尿に異常があると言われた方、腎臓の働きが弱っていると言われた方は是非ホームページからアクセスして下さい。詳細はコチラから

なお視聴方法など御質問のある方は、担当医師または内科外来、薬局、透析センターまでお問い合わせ下さい(参加費無料)。

当院の今村医師(腎臓内科部長・透析センター長)が第14回日本CKDチーム医療研究会にて“優秀演題賞”を受賞しました。

第14回日本CKDチーム医療研究会“優秀演題賞”。

【演題】外来CKDチーム医療のCKD管理目標値遵守状況に及ぼす影響

【目的】当院の外来CKDチーム医療がCKD管理目標値の遵守状況に及ぼす影響を明らかにする。
【対象・方法】対象は外来にて医師、看護師、管理栄養士、薬剤師による包括的指導を受け、指導前後3ヶ月以上観察しえた保存期CKD患者255例(非DM145例、DM110例)。介入前と指導12か月後の年間腎機能低下速度(ΔeGFR)およびCKD診療ガイドラインが提唱する収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、ヘモグロビン(Hb)、アルブミン(ALB)、尿酸(UA)、LDLコレステロール(LDL-C)、HbA1cの各管理目標値の達成率を比較した。さらに指導12ヶ月後の管理目標値達成率を4群(0%≦A<30%、30%≦B<60%、60%≦C<80%、80%≦D≦100%)に分け、透析導入率および腎生存率を比較検討した。
【結果・考察】外来CKDチーム医療により平均ΔeGFR(mL/min/1.73m2/年)は介入前-6.02から指導12か月後-1.50へ有意に改善し、管理目標値達成率はALBを除くすべての項目で向上し、全例で62.7%から68.9%へ有意に上昇した。また指導12か月後の管理目標値達成率が高い群ほど透析導入率は有意に低く(A:72.7%、B:35.3%、C:20.5%、D:8.2%)、腎生存率も有意に高かった。CKDチーム医療によりセルフマネジメントの意識が高まり管理目標値達成率が向上し、達成率が高いほど透析導入遅延・腎予後改善につながると考えられた。
【結語】CKDチーム医療はCKD管理目標値の遵守状況を向上し腎予後の改善につながる。

当院の今村医師(腎臓内科部長・透析センター長)が”第47回日本腎臓学会東部学術大会にて優秀演題賞”を受賞しました。

今村吉彦

【演題】「多職種による包括的指導のCKD重症化予防に対する有用性」

【背景】慢性腎臓病(CKD)対策には薬物療法とともに生活指導、栄養指導、服薬指導など包括的指導が重要であり、当院では2010年より保存期CKD外来にて多職種によるチーム指導を行っている。
【目的】当院におけるチーム指導のCKD重症化予防に対する有用性を検討する。
【対象および方法】外来にて医師、看護師、栄養士、薬剤師による包括的指導を行った保存期CKD患者135例(非DM78例、DM57例)を対象に、指導前後のeGFR低下速度および指導後一年間の血圧、Hb値、HbAlc、LDL-C、尿酸、尿蛋白/Crの経時的変化を検討した。
【結果および考察】包括的指導により、eGFR低下速度は指導前5.74mL/min/1.73m²/年から指導後1.13mL/min/1.73m²/年へ有意に改善した。eGFR低下速度の改善は89/135例(65.9%)に認められ、非DM群48/78例(61.5%)、DM群41/57例(71.9%)とDM群で改善例が多かった。さらに改善群では、指導後HbAlc、尿酸、LDL-C、尿蛋白/Crが有意に低下した。包括的指導はCKDに対する病識向上とセルフマネジメントの意識が高まり、CKD進行抑制に有効であると考えられた。
【結語】多職種による包括的指導は、CKD重症化予防に有用である。

当院の腎臓病療養指導士について

腎臓病療養指導士

2018年より腎臓病に関する専門的な知識を持ち、医師とともに生活・栄養・服薬指導を行う腎臓病療養指導士という資格認定制度が開始され、全国で2023年(第6回)までに計2404名(看護師56.4%、保健師0.6%、管理栄養士18.4%名、薬剤師24.5%)が誕生しております。
当院でも以下の14名(看護師8名、薬剤師4名、管理栄養士2名)が資格試験に見事合格し認定を受け、外来・病棟で活躍しています。
当院でも以下の13名(看護師8名、薬剤師3名、管理栄養士2名、)が資格試験に見事合格し認定され、外来・病棟で活躍しています。

2019年(第2回):山内美希 看護師・竹場和代 薬剤師・榎木瑞穂 薬剤師・小河原由佳 薬剤師
 
2020年(第3回):中村理恵 看護師・藤井沙織 看護師・矢口直美 管理栄養士

2021年(第4回):原そのみ 看護師・谷川直美 看護師

2022年(第5回):篠原勇介 管理栄養士

2023年(第6回):石原千代美 看護師・宇野真生子 看護師・根本多鶴江 看護師

2024年(第7回):中村友美 薬剤師

腎臓病療養指導士制度創設の背景

 慢性腎臓病(CKD)とは、蛋白尿や血尿がみられ、あるいは腎臓の働きが正常の60%未満(eGFR<60mℓ/分/1.73㎡)に低下している状態が、3カ月以上経過する腎臓病の総称で、国内に約1330万人(約8人に1人)いると推定されています。さらに高齢化や生活習慣病を背景に今後も増加することが見込まれています。
CKDは、腎機能の悪化だけではなく心筋梗塞や脳卒中など心血管疾患の重大な危険因子ですが、初期には自覚症状がほとんどありません。なるべく早い時期に発見し治療をはじめ、進行を遅らせることが重要で、そのためには、血圧・血糖・脂質・尿酸・貧血のコントロールなどの集学的治療が必要です。
このような集学的治療には、薬物療法とともに食事療法や生活習慣の改善が重要となり、個々の患者さんに専門的な知識をもつ複数のメディカルスタッフ(医療専門職)が連携して治療やケアに当たるチーム医療が必須です。
多数のCKD患者さんを限られた数の腎臓専門医だけで診療することは不可能ですので、CKD診療の水準をより向上させるためには、医師だけでなく看護師、管理栄養士、薬剤師をはじめとする多職種が互いに協力しながら、各領域の知識と経験を生かした療養指導を継続的に行っていくことが求められます。
以上のような背景から,日本腎臓学会、日本腎不全看護学会,日本栄養士会,日本腎臓病薬物療法学会が合同で2016年から「腎臓病療養指導士」制度創設の具体的取り組みが始まり、2018年4月からスタートし現在はNPO法人日本腎臓病協会が運営しております。

腎臓病療養指導士の対象と要件

 腎臓病療養指導士は次のように定義されます。
「CKDとその療養指導全般に関する標準的かつ正しい知識を持ち、保存期CKD患者に対し、一人ひとりの生活の質および生命予後の向上を目的として、腎臓専門医や慢性腎臓病に関わる医療チームの他のスタッフと連携をとりながら、CKDの進行抑制と合併症予防を目指した包括的な療養生活と自己管理法の指導を行い、かつ、腎代替治療への円滑な橋渡しを行うことのできる医療従事者」です。
簡単にいえば職種横断的なCKD療養指導に関する基本知識を有した方を育てるための資格です。
対象となる職種は、看護職(看護師、保健師)、管理栄養士、薬剤師の3分野で、応募要件はCKDの療養指導に関する実務経験、講習会の受講、所定の研修およびこれを証明する症例要約の提出と認定試験からなります(詳細は日本腎臓病協会ウェブサイトを参照)。
自らの職種だけでなく他領域におけるCKD療養指導の実習・見学と所定数の症例報告の提出が求められるため、取得の過程で職種横断的な知識が共有され多職種間の連携が自然に身につく仕組みとなっています。

期待される役割

標準的なCKD療養指導を全国各地に普及させることが目的のため、各領域の専門資格取得に必要とされるような高度な専門性は要求されません。そのかわり、CKD療養指導に必要な基本的、標準的な知識と技能については、自身の職種以外の領域に関する内容も求められ、これにより医師のもとでCKD患者の基本的な療養指導を一人で行うことが可能となります。
腎臓病療養指導士の方には、当院で行っております多職種によるCKD包括的指導の中心として一層の活躍が期待され、ともにCKDのさらなる診療水準の向上をめざしていきたいと考えております。  
なお、資格取得に関して興味のある方は、お気軽に御相談下さい。

副院長・腎臓内科部長・透析センター長:今村吉彦

透析センター(腎臓内科)について

1989年当院東館増築に伴い同年5月15日より透析室が開設され、2003年10月から透析センターとなりました。
職員構成は、腎臓内科常勤医師2名、非常勤医師3名、臨床工学科技士長以下技士13名、看護主任以下看護師8名、医療事務1名で透析室業務に携わっています。透析医療はチーム医療が基本となりますが、医師、技士、看護師のチームワークも大変よく、患者さんの立場にたって、何がその人に一番いい医療なのかを考えながら、安心で安全な透析医療を提供できるよう、日々努力しております。
血液透析センターは現在20床で稼働しており、月・水・金は、午前9時開始、午後3時開始の2クール、火・木・土は午前1クールで行っております。受け入れ可能患者数(定員)は60名です。
透析患者さんの病状管理は透析治療とともに合併症との戦いです。循環器内科、糖尿病内科、消化器内科、整形外科、外科、皮膚科、泌尿器科など院内のいろいろな科と連携し早期に治療出来るよう努めております。さらにさまざまな合併症治療のため、近隣施設から入院透析の依頼が増加しており積極的に受け入れております。
また東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科、循環器内科、心臓血管外科等と連携して、腎生検による診断や心血管合併症の高度治療に対応しております。
1998年より透析療法のもうひとつの柱である腹膜透析療法を開始し、要介護高齢透析患者さんにも積極的に勧めております。また、透析導入の初期には腹膜透析を選択し、その長所である残腎機能を保持し、安定した循環動態が得られることを十分生かすためのPDファーストや日常生活を維持しながら少ないバッグ交換回数から始めるインクリメンタルPDを推進しております。
近年、わが国には慢性腎臓病(CKD)の方が大変多いことが指摘されており新たな国民病といわれております。当院では保存期CKD対策として心血管合併症を減らし透析導入を遅らせることを目的に、医師だけではなく多職種と連携しCKDチームによる包括的指導を行っております。2007年から毎年腎臓病教室を開催し地域におけるCKDに対する啓蒙活動を行い、2010年より保存期CKD外来を開設し、一人一人の病状に応じた生活指導や栄養指導、服薬指導などの包括的指導を行い、2012年からは糖尿病透析予防指導を開始いたしました。

診療内容

血液浄化療法

血液透析療法が主体ですが、血液濾過療法(HF)や血液透析濾過療法(HDF)なども行っています。その他閉塞性動脈硬化症に対するLDLアフェレーシス、潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法(LCAP療法)、薬物中毒における血漿吸着療法や劇症肝炎に対する血漿交換療法、腹(胸)水濃縮灌流(CART)など様々な浄化療法を施行しております。また透析困難症の方にはアセテートフリー透析液(カーボスターR)も使用しております。
さらに透析液の清浄化に力をいれており、透析の長期合併症や残腎機能の維持に最適なオンラインHDFを導入いたしました。かゆみやいらいらの強い方や手根管症候群でお困りの患者さんに行っております。

腎臓内科外来診療

内科外来にて水曜、木曜の午前と火曜、金曜の午後を常勤医師が担当し、腎疾患・循環器合併症を中心に診療しております。月曜と水曜午後には透析センターで腹膜透析患者さん専門の外来診療を行っております。

保存期CKDの方を対象に、保存期CKD外来を開設して多職種による包括的チーム指導を行っております。また増えつづける糖尿病合併CKDにたいして2012年より糖尿病透析予防指導も開始いたしました。腎臓病・糖尿病専門看護師が主体となって、薬剤師、管理栄養士とともにその方の病状に応じた腎臓病対策、薬剤・栄養指導を行っております。

入院診療

急性期から慢性期まで腎疾患全般にわたり入院治療を行っております。急性糸球体腎炎やネフローゼ症候群、ANCA関連血管炎に伴う急速進行性糸球体腎炎などの鑑別診断と治療、急性腎不全にたいする急性血液浄化療法やエンドトキシン吸着療法など施行しております。
また腎機能低下が進行し末期腎不全となった場合、腎移植が不可能な病状であれば血液透析か腹膜透析かどちらを選択されるか充分に説明し、納得していただいた上で治療を開始いたします。バスキュラーアクセス手術や腹膜透析用カテーテル挿入術、透析療法の指導・教育を受けていただいております。病棟と透析センター、栄養科と連携し栄養指導や疾患についての患者教育を行っております。

臨床工学技士の業務

血液浄化療法にかかわるほか、ME機器管理、心臓カテーテル検査やペースメーカーの補助業務、手術室業務、さらに腹膜透析関連装置の保守・点検(訪問点検)なども行い、腹膜透析療法にも積極的にかかわっております。

学会認定

  • 日本透析医学会認定教育関連施設
  • 日本腎臓学会認定専門医研修施設

オンラインHDF(血液透析濾過)について

オンラインHDFとは通常行うHD(血液透析)に濾過(Filtration)を加えた治療法で、体外循環中に補液と濾過を多量に行うことで、血液透析では取り除きにくい低中分子蛋白物質を取り除くことができます。そしてオンラインHDFでは濾過に必要な補液として透析液をそのまま使用します。したがって清潔で純粋な透析液を使用することが義務づけられております。当院では透析液の清浄化に力を入れて、よりきれいな透析液を患者さんに提供するために日々取り組んでいます。その結果、日本透析学会が提示している透析液清浄化ガイドラインの中でも、最も厳しい基準をクリアしています。
長期透析の合併症にアミロイドーシスがありますが、これはβ2-ミクログロブリンという物質が関節や骨に沈着して神経を圧迫し、手の親指から中指にかけて痛みやしびれが出現する症例で、進行すると手術が必要になります。このアミロイドーシスの原因であるβ2-ミクログロブリンを積極的に取り除き、合併症を予防することができるのもオンラインHDFの特徴です。

臨床効果について

短期的臨床効果

①骨・関節症状の改善 ②皮膚掻痒感の改善 ③イライラ感(むずむず足)の改善 ④食欲の改善 ⑤透析困難症の改善(透析中の血圧安定)など

長期的臨床効果

①透析アミロイドーシス進行の抑制、発症の遅延 ②栄養指標の改善 ③動脈硬化進行の抑制 ④生存率の向上 などがあります。
このような臨床効果が期待される方に積極的に行っております。

腹膜透析 PDラスト、PDファースト、インクリメンタルPD

当院では腹膜透析療法(PD)を1998年から本格的に開始しました。これには無菌接合装置(テルモ社製むきんエース)の登場によりバッグ交換が無菌的に確実に行うことが可能となりPD関連腹膜炎の発症が少なくなったこと、自動腹膜灌流装置(テルモ社製マイホームPD:ピコ)にて夜間就寝中に透析液の注排液が可能(APD)となったことが大きな推進力となりました。当初は慢性血液維持透析患者さんで糖尿病性壊疽による下肢切断や、脳血管障害による四肢麻痺にて通院困難になった方を、長期入院治療ではなく、なんとか在宅で御家族といっしょに過ごしていただきたいと考え腹膜透析治療を開始いたしました。いわゆるPDラストの考え方で、要介護高齢透析患者さんには夜間のAPDを選択の一つとして勧めています。
一方、PDファーストは透析導入のはじめに腹膜透析を選択し、その長所である残腎機能を保持し、安定した循環動態が得られることを十分生かした後に血液透析に移行するという治療方法です。最近は積極的にPDファーストを実施しておりますが、このきっかけになったのはPD導入法としてスマップ(SMAP)法やスピード(SPIED)法が提唱されてきたことも要因の一つです。この方法はカテーテル関連合併症が少ないことに加え、計画的・段階的に導入が可能なため、入院期間が短くてすみ時間的、経済的負担も少ない利点があります。
当院ではこのスピード法を取り入れ、PDファーストとしての導入患者さんが増えつつあり、ご高齢の患者さんも社会復帰をされ、入院前とほぼ同じような日常生活を送っておられます。また残腎機能が保たれているため、低濃度の透析液が使用可能で、バッグ交換も少ない回数で十分な方や、APD治療時間の短い方もおられます。この残存腎機能に合わせて1日1回の透析液バッグ交換から開始し、腎機能の低下とともに徐々に交換回数を増やしていく方法をインクリメンタルPDといいます。この方法により残存腎機能が比較的長期にわたって保たれ、さらにこれまでの生活サイクル・QOLを維持しながら行うことが可能です。治療に使用する装置の操作や点検は、医師・看護師・臨床工学技士が一体となって指導・援助をいたしますのでご安心下さい。
透析センターにて腹膜透析専門外来診療を行っておりますので積極的に腹膜透析を希望される患者さまはもちろんのこと、高齢で介護が必要となり、血液透析施設に通院困難で在宅治療を希望される方はどうぞお気軽に御相談下さい。

保存期CKD外来・糖尿病透析予防指導

【慢性腎臓病(CKD)とCKDチーム医療について】

 腎臓の主な働きは体内のゴミ処理や水分調節ですが、血圧や貧血、骨代謝にも関わるとても重要な臓器です。慢性腎臓病(CKD)は病名ではなくこの腎臓の働きが徐々に悪くなった状態です。尿に蛋白や血液が混じるか、腎臓の働き(体内のゴミ処理や水分調整)が正常の60%未満(eGFR<60mℓ/分/1.73㎡)に低下している状態が、3カ月以上経過する腎臓病の総称で、国内に約1330万人(約8人に1人)いると推定され、CKDが進行すると透析治療や腎移植が必要となりますが、むしろ脳卒中や心臓病といった心血管疾患にかかる危険性が増加します。腎臓が悪くなる原因は腎炎のような腎臓そのものの病気だけではなく、高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリック症候群など様々な病気も関係しています。
 CKD治療の目的は、腎臓の働きが低下しないようにすることと、脳卒中や心筋梗塞といった脳・心血管の病気が起こらないようにすることです。すなわち腎臓を守ることは、心臓や脳を守ることにもつながります。しかしながら特効薬はありませんので、血圧、血糖、脂質、尿酸、貧血のコントロールなどの集学的な治療が必要となり、この集学的治療には薬物治療だけではなく看護師、薬剤師、管理栄養士などの多職種による包括的指導が重要です。
 腎臓内科・透析センターでは薬剤科・栄養給食科とともに、このような保存期(未だ透析治療や腎移植を受けていない)CKDの方を対象に、2007年から年に1度の腎臓病教室を開催し、CKDに関する啓発活動を行ってまいりました。さらに2010年より個々の患者さんの病状に応じた生活習慣の是正、服薬指導や栄養指導を行っております。
 この包括的指導は、腎臓専門医2名と糖尿病専門医1名とともに、腎臓病や糖尿病の専門的知識を持った腎臓病療養指導士9名(看護師5名、薬剤師3名、管理栄養士1名)と糖尿病療養指導士(看護師2名)を中心としたチームにより、内科外来にて指導を行っております。当院の研究結果(参考文献)からチーム医療を受けた方の多くはコレステロールや尿酸値、HbA1cが改善し、約70%の方に腎機能の低下抑制効果を認めております1)。また、このチーム医療を受けた方々は受けなかった方々に比べて、透析に至るまでの期間が長く(透析の開始を遅らせる)、カテーテルを用いた緊急透析の頻度も少ないことから透析導入後の生存率も高い可能性があります。さらに血液透析より自分自身の腎臓の働きを温存できる腹膜透析を選択される方が多いということもわかりました2)。
 CKD対策は早期発見、早期治療が重要です。健診で検尿に異常を指摘された方や腎臓の働きが弱っていると言われた方、特に血圧や血糖値、コレステロール値が高くて蛋白尿が出ている方は是非遠慮なくご相談ください。

参考文献
1) Usefulness of multidisciplinary care to prevent worsening renal function in chronic kidney disease
Yoshihiko Imamura, Yasunori Takahashi, Toshihide Hayashi,
Masateru Iwamoto, Rie Nakamura, Mikiko Goto, Kazuyo Takeba,
Makoto Shinohara, Shun Kubo, Nobuhiko Joki
Clinical and Experimental Nephrology 23; 484-492, 2019

2) Effect of multidisciplinary care on dialysis initiation for outpatients with chronic kidney disease
Yoshihiko Imamura, Yasunori Takahashi, Satoru Uchida, Masateru Iwamoto,
Rie Nakamura, Miki Yamauchi, Yuka Ogawara, Mikiko Goto, Kazuyo Takeba,
Naomi Yaguchi, Nobuhiko Joki
International Urology and Nephrology;
https://doi.org/10.1007/s11255-021-02787-w

                                                                    腎臓内科部長・透析センター長:今村吉彦

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