リハビリテーション科脳卒中Q&A

脳卒中Q&A

脳卒中Q&A

脳卒中とはなんですか?

脳卒中とは脳の病変で卒(そつ(突然))に中(あた)る(倒れる)こと、つまり突然に脳に何かが起きてたおれてしまうことです。この言葉は脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血といった脳血管障害と呼ばれる疾患の総称です。(ちなみに脳梗塞は脳血栓と脳塞栓の総称です。

脳卒中になりやすい病気はありますか?

危険因子と言われる脳卒中を起こしやすい病態としては高血圧、糖尿病、高脂血症、心疾患(心筋梗塞後、心臓弁膜症、心房細動などの不整脈など)、喫煙、肥満などが知られています。
<詳しく知りたい方はこちら(脳卒中の危険因子)へ>

麻痺はどうしておきますか?

脳卒中により大脳運動野にある一次運動ニューロンと呼ばれる神経細胞から脊髄の二次運動ニューロンに伝わる神経の経路に損傷がおきるために麻痺が起きます。いわば電線の配線が切れてしまうようになり手足などが動かせなくなります。一般に大脳に病気がおきた場合はおきた側の反対の麻痺が生じます。顔面、舌、のど、上肢、下肢などの片側すべてに麻痺がおきることから片麻痺と呼ばれます。

脳卒中の時どのような検査をしますか?

診察して脳卒中が疑われる場合はX線CTやMRIと呼ばれる検査を行いその病気の性質と場所を確認します。この他意識障害をおこす他の疾患を区別するために血液検査などが必要です。

CTやMRI検査で何が分かりますか?

発症直後でも出血性の病変(脳出血、クモ膜下出血)は頭部CTで出血の部位、大きさは分かります。脳梗塞の場合は発症直後にはX線CTでは分からないことがありますが、24時間後には明らかとなります。脳梗塞では超急性期と呼ばれる時には#頭部MRI拡散強調と呼ばれる特殊な撮影の仕方やMRアンギオと呼ばれる脳の動脈の血管の流れを見る検査が有効です。このような検査によりどの血管が詰まっているかが推定でき、場合によっては詰まった血管を再開通させる治療を試みることができます。

頭の検査はどれくらいの頻度でやればよいですか?

一旦病気になってしまえば、その経過を追うために(出血の拡大がないか、脳のむくみの程度はどうか)検査が必要です。慢性期となった場合は一般には新しくなにか症状が出現しない限りは定期的に行う必要はありません。CT、MRIの検査は今のところ病気がおきる場所を予測することはできず、なにか起きた結果しかわかりません。

脳卒中の急性期治療はどのようなものがありますか?

脳卒中では一般に呼吸状態、血圧管理などが必要です。このほか脳の損傷に伴い脳浮腫という脳の腫れが生じるためこれに対して脳圧降下目的に高浸透圧液を用い、脳組織の脱水を行います。血液脳関門の機能している部位の脳に貯留する水分を取り除くとされ、脳血液関門の破壊された脳梗塞部位では水分除去が十分では無いという意見もある。グリセオールとマンニトールがあるが、一般にはグリセオールが使用され、マンニトールは脳ヘルニアの進行する時や、手術を前提とした時に用いられます。
また脳梗塞急性期にはしばしばストレス性の潰瘍を引き起こし、上部消化管に浅い潰瘍が多発する。特に抗血栓療法などを行っている場合には消化管出血が全身状態を悪化させることになり、予防的な抗潰瘍薬の投与が行われます。
急性期には嚥下障害もまれならずあり、無理な経口摂取が嚥下性肺炎を招くこともあり、注意が必要です。安静臥床を保たせるためと酸い分量のin-outをチェックするためにバルーンカテーテルを挿入し排尿管理します。このほか、便秘は思わぬ障害を招くことがあり、排便コントロールも必要に応じ行います。

外科的治療

クモ膜下出血の場合には開頭し出血をおこした動脈瘤を特殊なクリップで止め治療します。全身状態により手術をいつやるかは異なります。最近になり血管内カテーテルで処置する方法もありますがすべてに適応できるわけではありません。
<詳しく知りたい方はこちら(脳卒中の詳しい治療:外科的治療)へ>
脳出血の場合には小さいものであれば保存的に手術することなく経過を観察します。しかし出血が多く大きな血の固まりが出来ている時には脳が圧迫され生命に関るため開頭して血の固まりを除去したり、吸引したりします。
脳梗塞ではその病型により多少治療法が異なります。

脳梗塞の内科的治療、予防薬について

<詳しく知りたい方はこちら(脳卒中の詳しい治療:内科的治療)へ>
1)進行性脳梗塞、crescendo TIA crescendo TIAと呼ばれるTIAが頻発しどんどんとその発作の持続が長くなっている時や、動揺性あるいは進行性脳梗塞など血管がまさに閉塞しかけているような状況(脳底動脈血栓症)などでヘパリンが用いられます。
2)アテローム血栓性脳梗塞
抗トロンビン薬であるアルガトロバンは発症後48時間以内の脳血栓症(アテローム血栓性脳梗塞)で有効性が示されています。
3)ラクナ梗塞
オザグレルは特に穿通枝系の脳梗塞(ラクナ梗塞)に有効であるとされています。
アルガトロバン、オグザレルともに梗塞巣周辺の血流低下部位での血栓形成を防ぎ、微小循環を保たせることで脳組織を死から生に向かわせる目的で用いられます。
4)脳塞栓
主に心房内に生じるフィブリン血栓がその原因であり、抗凝固療法が用いられます。脳塞栓急性期には再塞栓を起こす可能性が高く、特に14日以内に多いとされます。その予防にはヘパリンが用いられます。この投与によって再発作の頻度を減少させることは間違いないのですが、一般に脳塞栓は大梗塞であることが多く、出血性梗塞や、他の出血性病変の新たな出現が問題となる。本療法は大規模な無作為化比較対照試験は行われていませんが肯定的意見は多く、定着してきています。

<血栓溶解療法>  血小板血栓そのものに効果があるとは思われないのですが、血小板血栓に続発してフィブリン血栓が形成されてゆく場合には効果が望まれます。現在保険点数上ではウロキナーゼ6万単位7日間の使用が認められていますが、現在では有効とは考えられてはいません。組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)が次世代の血栓溶解薬として期待されますが、日本でもようやく保険適応となりました。症例を選択しないと再開通による脳内大出血を招く可能性があるとされ、発症後3時間以内の投与などその使用に制限は多い薬剤ですが、うまく効けば症状の著明な改善を望めます。
<詳しく知りたい方はこちら(脳卒中の詳しい治療:血栓溶解療法)へ>

脳保護剤 最近開発された薬剤でフリーラジカルスカベンジャーという薬効を持つラジカットという薬品が、脳に障害を生じたときにその被害を最小限にとどめる目的で単独使用あるいは、併用で用いられます。

低体温療法
低温では酵素反応のスピードが低下し、細胞内の反応を遅らせることが可能であることから脳梗塞での神経細胞変性を遅延させる目的で行われます。最近は軽微低体温療法という脳温を33度程度に保つ方法が試みられています。

脳卒中になった後どのような予防方法がありますか?

脳出血は高血圧が基盤となっていることがほとんどであり、血圧を正常に下げることが必要です。このために食事で塩分制限をしたり降圧薬を服用したりします。 脳梗塞の中でラクナ梗塞では特に高血圧が関与するとされ先の脳出血と同じく血圧を下げることが重要です。その他の脳血栓では血小板機能、動脈硬化が関与していることから抗血小板薬(小児バファリン、パナルジン)を中心として病態により降圧薬、抗高脂血症薬などが必要となります。この他糖尿病、肥満などがあればその治療を、また喫煙は中止するように努力してください。 
脳塞栓では心臓に血栓ができることが問題であり、抗凝固薬としてワーファリンが使われます。
<詳しく知りたい方はこちら(脳卒中の詳しい治療:抗凝固療法)へ>

脳卒中の病型

  1. 脳出血
  2. 脳梗塞:アテローム性脳血栓/ラクナ梗塞/脳塞栓
  3. クモ膜下出血

脳卒中の危険因子

これがあると脳卒中になりやすい

高血圧/糖尿病/高脂血症/心房細動/喫煙/多量飲酒/肥満 など

脳卒中での検査

画像診断

頭部CT 頭部MRIT1強調画像 頭部MRIT2強調画像 MRA(MRアンギオ)立体視可能
画像診断 画像診断 画像診断 画像診断

脳梗塞の内科的治療、予防薬について

進行性脳梗塞、crescendo TIA

TIA頻発・発作持続延長時、動揺性あるいは進行性脳梗塞(脳底動脈血栓症)⇒アスピリン、ヘパリン
TIAのとき ABCD2 Score (エービーシーディースクエア スコア)で4点以上は入院が勧められる。

アテローム血栓性脳梗塞

アルガトロバン(抗トロンビン薬 発症後48時間以内に使用)

ラクナ梗塞

オザグレル(抗血小板薬)
アルガトロバン、オグザレル:梗塞巣周辺の血流低下部位での血栓形成を防ぎ、微小循環を保たせる

脳塞栓

抗凝固療法 急性期;ヘパリン 安定したら ワーファリン

血栓溶解療法

組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)
症例を選択しないと再開通による脳内大出血を招く可能性があるとされ、発症後3時間以内の投与などその使用に制限は多い薬剤ですが、うまく効けば症状の著明な改善を望めます。

脳保護剤

ラジカット(フリーラジカルスカベンジャー)
脳の被害を最小限にとどめる目的で単独使用あるいは、併用で使用

低体温療法

低温で脳梗塞での神経細胞変性を遅延させる目的
軽微低体温療法(脳温を33度程度に保つ)

ワーファリンとその他の薬剤との相互作用

ワーファリンとその他の薬剤との相互作用

麻痺Q&A

片麻痺とはどういう状態ですか?

脳の病気では右なら右全体に麻痺が起こります。こういった状態を片麻痺と呼びます。ちなみに脊髄の障害では両下肢に麻痺を起こしたりしますがこの場合は対麻痺と呼びます。

手と足は同じように直りますか?

麻痺は同時におきるのですが直る時は下肢の方が早く良くなります。一般に上肢は下肢に比べて何倍も回復は難しいものです。なかなか本来の動きが戻らないことが多いことは事実です。しかし、数年かかってはじめて少し指が動くようになる人もいます。

麻痺はどれくらいかかってよくなりますか?

一般には最初の6ヵ月の間が改善が大きく見られる期間とされています。ただしその病巣の大きさ、麻痺の重さによってはもっと長期にかかる場合もあります。また6ヶ月経過しても緩やかではありますが改善はみられます。ひとりひとり病巣などが違い、それぞれの人で麻痺の程度は異なっており、治りかたも違います。この他、左半側空間失認や失語症などが合併していると改善もゆっくりとなりやすいです。

うまく歩けなくなっても家で生活できますか?

歩けないというだけで家で生活できない訳ではありません。家屋改造を行ったり、介護保険での援助を受けながら在宅生活をしている方はたくさんいらっしゃいます。

麻痺の種類

片麻痺

右半身、あるいは左半身というように片側に麻痺を起します。主として脳の障害。

対麻痺

両下肢の麻痺を起します。主として脊髄の障害。

単麻痺

片側の上肢、下肢単独に麻痺を起します。主として末梢神経、神経叢の障害。

四肢麻痺

両手足の麻痺を起します。主として脊髄(頚髄)障害、末梢神経障害。

失語症Q&A

失語症とはどのような状態ですか?

言語に関する機能に障害を受け、人が話していることを聴いて理解したり、自分で思うことをしゃべることがうまく出来なくなります。これは読んだり、書いたりすることにも及びます。

失語症には種類がありますか?

障害される場所により同じ失語症でも症状は微妙に変わってきます。代表的な失語症としてはブローカ型失語、ウエルニッケ型失語、伝導失語、失名詞失語、超皮質性感覚性失語、超皮質性運動性失語などがありますが、分類が困難なものももちろんあります.。失語症に関係する部位としてBroca野、Wernicke野、弓状束、角回、縁上回、上頭頂小葉、横回などが重要とされています。

失語症の人にはどのように接すればよいですか?

失語症の患者さんはいわば我々が突然外国に行ったような状況です。外国語はしゃべれなくても判断力はあります。知っている言葉があればそれを手がかりに理解することも出来ます。ゆっくりと簡潔に繰り返して話すこと、はい・いいえの質問で答えを聞き出してください。また身振りなどを利用したり、気持ちをあせらないようにさせることも重要です。

失語症はいつ頃から訓練が必要でどのようによくなりますか?

失語症の訓練は意識が清明となり、30分以上疲労を訴えずに注意が集中できるようになったときに開始します。一般的には発症後3~6ヶ月までは改善が大きく、特に最初の1ヶ月間の変化が大きいとされています。言葉の回復という点ではその型によっても異なりますがどちらかというと聴いて理解する力のほうが言葉を出すほうよりも回復しやすいとされています。

失語症の人にはいつも介助する必要がありますか?

基本的には記憶、判断力は正常に保たれていますので、しゃべれないからといってもいつもそばに誰かがついていなくてはならないということはありません。しかし、時に聞き誤るということを十分に理解できない失語症の方は誰かが間に入って理解、他者とのやり取りの手助けをすることが不可欠です。

失語症に関連する部位

失語症に関連する部位

失語症の種類

全失語

重度の喚語障害(残語,再帰性発語)と了解障害

ブローカ失語

喚語障害,比較的保たれた了解能力

純粋運動失語,純粋語唖

喚語障害,了解・書字障害

超皮質性運動失語

自発語は少ないが喚語障害,復唱良好,顕著な了解障害

混合型超皮質性失語

自発語は乏しいが,復唱能力は保たれ反響言語(+),了解障害顕著

皮質性感覚失語,ウェルニッケ失語

豊富な錯語(語性,字性,新造語),顕著な了解障害

皮質下性感覚失語 純粋語聾

口頭言語の了解のみ不良,書字障害

超皮質性感覚失語

語音把握良好(復唱可能)も語意理解不良,錯語は語性主体

伝導失語

意図的発話で言い直しを伴う字性錯語,了解障害はあっても軽度

健忘失語

喚語障害とそれに伴う迂遠な言い回し,了解良好

半側空間失認(無視)Q&A

半側空間失認とは何ですか?

左側に十分な注意が払えなくなった状態を言います。誰でも本棚を注意深く探していてもなかなか目的の本が見つけられないことを経験することがあります。このように見えているにもかかわらず見落としてしまうという状態が体の左右どちらかの側に対して起きてしまう状態をいいます。最近は左半側空間無視と表現することが増えています。左側を見落としてしまう場合には左半側空間失認といい、右側の場合には右半側空間失認といいます。右側の無視は比較的改善しやすいのですが、左側の無視は重度であれば一生後遺症として残る場合があります。リハビリを行う上で、自分の悪い側に十分な注意が向けられないためにしばしば回復の妨げとなります。

半側空間失認が日常生活にどのような問題をおこしますか?

左の半側空間失認があり歩ける場合には左側の電柱にぶつかるときもあります。この他、車椅子で移動していて左側のものにぶつかってしまったり、ひっかかっていることに気づかず立ち往生したりします。また、左側に不注意のため自分の部屋に戻れなくなったり、トイレの場所に迷ったりします。また、食事のときに左側のものに気づかず手をつけなかったり、左側のひげをそり忘れたりすることもあります。

半側空間失認にはどのような検査方法がありますか?

通常の検査としては線分の二等分試験、花の絵の模写試験、抹消試験などで見落としがおきやすい場所、程度を判定します。しかし、このような机上の検査では症状が軽くても、日常の生活場面ではひどく症状があらわれることもしばしば経験します。

半側空間失認はどのようによくなりますか?

一般に急性期には程度が重く、ほとんど顔がや体が正面から無視のあるほうの反対向きに向きっぱなしのような状況になります。また、同時に左手足がどこにあるのか分からなくなったり、引っかかっていても気にしなかったりします。徐々に改善するとともに、顔を無視のあるほうに向けられるようになり、悪いほうの手足に注意を払えるようになります。但し左の半側空間失認はなかなか回復にてこずる例も多く、毎日のように左に注意するように指導しても簡単には修正できません。

左半側空間失認の検査

左半側空間失認の検査

図形模写(花の絵)線分二等分

半側空間認識のメカニズム

感覚障害(要素的障害)説

視野障害説/眼球運動障害説

感覚情報統合障害説

知覚障害+見当識障害または知能障害説

注意-覚醒障害説

注意不均衡(相互抑制)説/感覚性無視に対する注意覚醒障害説/注意の方向決定に関わる皮質回路網仮説/半側空間性運動低下(無動)説

空間表象機能障害説

空間表象障害説に登場するミラノ ドーモ

空間表象機能障害説

けいれん発作Q&A

脳卒中と関連してけいれん発作をおこすことがありますか?

脳卒中の急性期にけいれんを起こすことがまれですがあります。このほか遅発性けいれんといって統計的には約10%前後の人が脳卒中後に脳卒中で生じた病巣が原因でけいれん発作を起こします。脳の皮質を含む脳梗塞、出血性梗塞後に多く、比較的若い患者さんで頻度は多い様です。けいれん発作を生じた場合は脳波検査などでその後発作が起きやすいかどうかなど判定しますが、発作波といわれる異常波形はそれほど多くはみられません。

けいれん発作をおこしたらどう対処すれば良いですか?

一般には発作は短時間でおさまることが多く、意識も回復しますが、呼吸がうまくできるように横をむけたり、転倒しないように横に寝かせます。初回であれば新たな病変の出現の可能性もあり病院で検査する必要がありますので救急車で最寄りの病院へ搬送してください。

けいれん発作を止める方法はありますか?

抗てんかん薬(抗けいれん薬)を服用することでけいれんを防止することが出来ます。このほか、睡眠不足や無理をしすぎた後、深酒の次の日などに発作は起きやすく、こういったことを避けることも大切です。

けいれんを止める薬は一生飲むものですか?

ある期間けいれん発作がおきなければ(医師により多少異なりますが一般には1ー3年の期間)薬を中止してゆくことは可能です。しかし突然の薬の中止はけいれん発作を誘発することもあり必ず医師と相談してください。

脳波検査

脳波検査脳波検査

リハビリテーションQ&A

脳卒中の後のリハビリはいつからはじめるのが良いですか?

現在はできるだけ速やかにリハビリを行う方がよいとされています。もちろん急性期はベッドサイドで開始します。リハビリは訓練室だけで行うものではありません。

脳卒中のリハビリはどのように行われますか?

病気になった直後からリハビリは開始されます。急性期に行われる急性期リハビリ(主としてベッドサイドで)ではじまり、機能障害に対して専門のリハビリ病院で回復期リハビリ(専門リハビリ)が行われます。自宅に退院してからは一般的には介護保険を利用した維持リハビリが地域で利用でき、機能維持が行われます。

リハビリテーションに関る人にはどのような職種がありますか?

リハビリテーションには医師、看護婦といった一般の病院で接する職種の他に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカーといった職種があり、それぞれ専門性をもってリハビリテーションに関ります。

リハビリはいつまで必要ですか?

自宅で生活可能となれば病院での集中的なリハビリは基本的には必要ありません。自宅で機能低下を来たさぬように維持的、予防的リハビリはずっと必要です。寝てばかりいると廃用のためにできていたこともできなくなる場合があります。家の中に閉じこもらない意味でもデイサービスなどを利用して他者との交流を持ちながら心身ともに常に運動をしてゆきましょう。

身体障害者手帳Q&A

身体障害者手帳とは何ですか?

身体に障害がある場合は身体障害者福祉法の規定により障害程度の認定を行い、身体障害があることを証明する身体障害者手帳の交付を受けることができます。この手帳を所持することで身体障害者福祉法・自立支援法の制度を利用することができます。

身体障害者手帳はどのような意味で必要ですか?

障害者施策として心身障害者福祉手当、特別障害者手当、医療費の助成、福祉タクシー券、緊急通報システムなどのサービスを受給できる場合があります。それぞれ等級により違いますので保健福祉センターなどにご相談ください。現状ではヘルパーさんの派遣、入浴サービスなど以前手帳をもとに行われていたサービスは介護保険制度の利用が可能な方は介護保健サービスの利用が優先されます。

身体障害の等級について良く分かりませんが?

東京都では東京都福祉局が発行する手引きにその等級表が掲げられており、それに基づき等級が決定されます。最高が1級で最低で7級までが等級として定められています。身体障害者福祉法第15条1項の規定による指定医師の診断書をもとに決定されます。

障害年金

障害年金とは何ですか?

障害年金とは障害が発生し、1年6ヶ月経過してなおその障害が残っており、厚生年金法で定められた障害の等級の1,2,3級に該当する場合に年金が支給されます。この等級と身体障害者の等級とは異なります。障害の発生していたときに加入していた年金により、国民年金からは障害基礎年金と呼ばれる年金が、厚生年金保険からは障害厚生年金と呼ばれる年金が支給されます。受け取る年金は年金加入の期間などで異なります。

どのような時にこの年金が受給できますか?

障害が起こった直後からは支給を受けることができません。また、自己申告制ですので、障害の発生から1年6ヶ月の経過後申請をすることができます。市町村役場、あるいは社会保険事務所で所定の用紙をもらい、医師に診断書を作成してもらい、障害給付裁定請求書、病歴書、その他の書類とともに提出してください。診断書には眼の障害用、聴力、鼻腔、口腔(そしゃく・言語)の障害用、肢体の障害用、精神の障害用、呼吸器疾患(肺結核・じん肺・肺機能の障害)用、心疾患・腎疾患・肝疾患・高血圧・糖尿病用、その他の障害用の7種類があり、該当するものを提出します。

介護保険Q&A

介護保険とは何ですか?

誰もが安心して豊かな老後を送れるように介護を社会全体で支えあうために創設されました。40歳以上の人が加入者となり、65歳以上の人は第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人は第2号被保険者と呼ばれます。第1号被保険者は介護や、日常生活の支援が必要となった場合は申請して要介護認定を受け、サービスの利用ができます。第2号被保険者は脳血管障害(脳卒中)などの老化が原因とされる特定疾病のため介護や支援が必要となったときに申請して要介護認定を受け、サービスの利用ができます。

介護保険のサービスにはどのようなものがありますか?

大きく分けて居宅サービスと施設サービスに分かれています

居宅サービス

(1)訪問介護(ホームヘルプサービス)
洗濯や調理、買い物などの生活援助と排泄、入浴、食事の世話などの身体介護まで生活全般のサービスを受けられます。

(2)訪問入浴介護
利用者の自宅に浴槽、その他必要な器具を持ち込んで入浴を手伝ってくれます。

(3)訪問看護
看護師や保健士、理学療法士、作業療法士が利用者の自宅に訪問して、療養上の世話、医療処置、診療補助を行います。
医師が認めた場合に受けられるサービスです。
提供事業者も訪問看護ステーションと病院、診療所に限られます。

(4)訪問リハビリテーション
理学療法士、作業療法士が利用者の自宅に訪問して、理学療法、作業療法などのリハビリテーションを行います。
医師が認めた場合に受けられるサービスです。
提供事業者は病院、診療所、介護老人保険施設となっています。

(5)居宅療養管理指導
医師、歯科医師、薬剤師が利用者の自宅に訪問し療養上の管理、指導を行います。

(6)通所介護(デイサービス)
利用者が老人デイサービスセンターや特別養護老人ホームなどに日帰りで通所して、日常生活の訓練、食事や入浴の介護を受けられます。

(7)通所リハビリテーション(デイケア)
利用者が介護老人保健施設や病院に通所して、理学療法、作業療法などのリハビリテーションを受けます。
医師が認めた場合に受けることが出来ます。

(8)短期入所生活介護(ショートステイ)
数日から1週間程度の短期間、施設に入所して入浴や排泄、食事の世話や機能訓練などのサービスを受けられます。

(9)短期入所療養介護
数日から1週間程度の短期間、施設に入所して看護、医療や医学的管理のもとで介護、機能訓練などのサービスを受けられます。

(10)痴呆対応型共同生活介護(グループホーム)
中程度までの認知症の要介護者が5から9人で共同生活を送り、今までと同じような家庭で暮らしてきたような生活を続けられるようにします。

(11)特定施設入所者生活介護
有料老人ホームやケアハウスに入所している利用者が、入浴や排泄などの介護、機能訓練、療養上の世話などのサービスを受けられます。

(12)福祉用具の貸与と購入費の支給
車椅子や特殊ベッドなどの12種類の福祉用具の貸与や簡易浴槽や腰掛便座などの5種類の福祉用具の購入費の支給が受けられます。

(13)住宅改修費の支給
スロープの設置や手すりの取り付けなどの住宅改修費が支給されます。

施設サービス

(1)介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
常時介護が必要で、在宅での生活が困難な要介護者が入所できます。

(2)介護老人保健施設
病状が安定期にあり、入院治療の必要はないが、リハビリテーション、看護、介護を必要とする要介護者が入所できます。
医療機関から家庭へ復帰するための施設です。

(3)介護療養型医療施設
長期的に治療を必要とする要介護者が入所できます。
設置者は病院や診療所です。医学的管理の下で介護、機能訓練が行われます。

介護保険を利用するにはどのようにすれば良いですか?

介護サービスを利用する必要がある人は地域の保健福祉センター、在宅介護支援センターの窓口に申請するところから始まります。申請されれば、主治医に主治医意見書が発送され、また、区の職員などが自宅などを訪問し状況の調査が行われます(認定調査)。認定調査の結果、主治医意見書をもとに介護認定審査会で介護の必要性程度について審査が行われます。審査結果により要支援から要介護1-5までの区分に分けて認定が行われ、通知されます。居宅介護支援事業者(ケアマネージャー)を見つけ、話し合い各種サービスを組み合わせた居宅サービス計画を作成します。このサービス計画に基づき総合的なサービスが利用できるようになります。

介護保険のサービスはずっと受けられますか?

その要介護状態区分に変化がない場合は現状では同じサービスをずっと受けることが可能です。

要介護度

被保険者の介護を必要とする度合いを表します。 最も軽度の要支援1、要支援2から、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、最も介護を要するとされる要介護5の7段階に分けられます。 要介護認定の結果においては、自立を意味する非該当の結果が出ることもあります。

要介護

要介護状態とは、身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、一定期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態のことです。介護を要する度合いに従って、要介護1~要介護5の5段階に分けられ、要介護5がもっとも介護を必要とする状態を指しています。

要支援

要支援状態は、要介護状態に至らないが、身体上又は精神上の障害があるために、一定期間にわたり継続して、日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態のことです。 支援を要する度合いに従って、要支援1~要支援2の2段階に分けられます。

非該当

要介護認定の二次判定において、要介護、要支援に該当しないと判断されるとき、自立を意味する非該当と判定されます。

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