股関節センター(予約制)よくある質問

人工股関節置換術に関するよくある質問

人工関節置換術を受けた後、要介護・要支援の申請をすることはできますか?
人工関節置換術を受けたから介護が受けられるということはありません。
介護サービスを利用するためには、介護が必要な状態であると認定を受ける必要があります。
申請やお問合せの窓口は、市区町村の介護保険課や地域包括支援センターなどです。
詳しくは厚生労働省と各都道府県が管理している介護サービス情報公表システムをご覧ください。
人工関節置換術を受けた後、身体障害者手帳をもらうことはできますか?
平成26年4月1日に身体障害者手帳の認定基準が変わりました。これまでは、人工股関節置換術を受けられた方は、一律4級に認定されていました。現在は、術後の経過の安定した時点での関節可動域等に大きな制限のある方は認定される可能性があります。
人工関節置換術を受けた後、障害年金をもらうことはできますか?
関節可動域等に大きな制限のある方は、障害年金に認定される可能性があります。身体障害者手帳と障害年金の認定基準は異なりますので注意が必要です。
ご参考:障害基礎年金を受けられるとき ─ 日本年金機構
人工関節置換術を受けた後、日常生活における注意点は何ですか?
人工関節をできるだけ長持ちさせるために注意点は以下のようなものがあります。
当股関節センターでは、術後に理学療法士より詳細な説明があります。
・適切な体重を維持する
・転ばないように注意する
・関節を無理に曲げる、ねじる、伸ばすなどの動作を避ける
人工関節が入っていても、足の爪を自分で切れるようになりますか?
術後もご自身で足の爪を切ることができます。
股関節への過度な負担を避けるために膝より腰の位置が高くなる椅子を選んだり、床の場合には膝をなるべく伸ばした状態で爪を切ることをお勧めしています。
当股関節センターでは、術後に理学療法士より詳細な説明がありますので、分からないことは何でも相談してください。
人工関節が入っていても、靴や靴下を自分で履けるようになりますか?
術後もご自身で靴や靴下を履くことができます。
椅子に腰かけた状態で、足を少しあげ内側から手を入れて靴や靴下を履くことをお勧めしています。
また、腰の屈曲を少なくする為に柄の長い靴ベラの使用も有効です。
当股関節センターでは、術後に理学療法士より詳細な説明がありますので、分からないことは何でも相談してください。
人工関節手術を受けた後、杖などは必要ですか?
術後のリハビリテーションでは杖を使用して歩行の練習を行います。
リハビリテーションを行い、筋肉を回復させ、関節の動きをよくすることで、杖を必要とせずに歩行できるようになって退院される方も多くいらっしゃいます。
人工関節が入っていてもお風呂には入れますか?
人工関節が入っていてもお風呂に入ることは全く問題ありません。
浴室での転倒リスクを減らす為、手すりや滑り止めテープなどの安全用具の使用をお勧めします。
また、関節の負担を減らすために低い椅子を避け、浴槽内でも股関節をなるべく90度以上曲げないように心がけてください。
人工関節が入っていても、車の運転はできますか?
車の運転は可能です。ただし、転倒や脱臼を防ぐためにいくつか注意していただくことがあります。
たとえば、車に乗り込む際は、まず座席に腰をおろしてから足を車内に入れるようにします。
車の運転をしたい方は、運転を再開する前に担当医にご相談ください。
人工関節が入っていても、飛行機に乗ることはできますか?空港のゲート・金属探知機で問題になりませんか?
人工関節置換術後も飛行機に乗ることは全く問題ありません。
ただ、人工関節が金属探知機に反応してしまうこともありますので、係員の指導に従って、個別検査や質問に対応ください。海外に渡航される場合、事前に説明文を準備しておくとよりスムースかもしれません。
「I have an artificial joint implanted. These Implants may activate a metal detection device. (私は人工関節を使用しています。人工関節が金属探知機に反応してしまう可能性があります)」
人工関節が入っていても、走ることはできますか?スポーツには復帰できますか?
衝撃荷重がかかる動き、スポーツはお勧めしていません。
年齢や症状の個人差にもよりますが、ウォーキング、水泳、ゴルフなど術後でも楽しめるスポーツは多くあります。スポーツを始める前に担当医にご相談ください。
金属アレルギーがあるのですが、人工関節置換術を受けられますか?
人工関節の金属部分には、チタン合金・コバルトクロム合金・ステンレス合金などが使われています。
事前にアレルギー検査をして、反応のでない素材を医師が選びます。
糖尿病なのですが、人工関節置換術を受けられますか?
糖尿病をお持ちの方の場合、感染のリスクが高いと言われています。術前の血糖値のコントロールが重要です。
手術を受けられるかどうかについては、担当医が診察時にご相談にのります。
高齢でも手術を受けられますか?
人工股関節の手術を受けられる患者様のご年齢は60歳前後が平均で、70代の方も多くいらっしゃいます。
当股関節センターでは、最高齢の患者様で95歳のときに手術を受けられた方もいらっしゃいます。
一般に、年齢の高い患者様の方がリスクが高いと言われていますが、「高齢だから、若いから」ということではなく、患者様一人一人の状態をよくみながら、最善だと思われる治療をご本人と一緒に選んでいくことが大切だと考えています。
人工関節置換術の利点と欠点は何ですか?
利点は、関節の痛みが緩和されること、関節の動きが回復する(前よりも動くようになる)ことです。関節の動きが改善されることで、これまで関節疾患によって生じていた身体の他の部位への負担も軽減されます。
欠点は、合併症のリスク(感染、脱臼、人工関節のゆるみなど)があることがまず挙げられます。また、無事に手術が成功しても、関節が悪くなる前のように、何も気にせずに運動したり関節に負担をかけたりすることができないことを欠点と思う患者様もいらっしゃるかもしれません。
人工関節の耐久性・寿命はどのくらいですか?
人工関節が体の中で長持ちするのか不安な方もいらっしゃるかもしれませんが、個人差はあるものの、15年~20年以上機能するというところまで、製品の技術と手術の技術の向上によって実現されてきています。
また、人工関節を長持ちさせるためには、患者様ご本人のご協力も不可欠です。無理な態勢を取ったり、強い衝撃を与えたりして人工関節に負担をかけてしまわないように、日ごろから注意してください。
当股関節センターでは人工関節の定期検診を継続して行っていますので、一緒に人工関節を長持ちさせられるように取り組んでいきましょう。
日本製の人工関節の方が長持ちするというのは本当ですか?
日本製だから長持ちする、外国製だから長持ちするということは医学的に証明されていません。
日本製の人工関節の方が日本人に合っているというのは本当ですか?
外国製の人工関節であっても、日本人のデータを用いていて開発された人工関節があります。
感染、血栓、脱臼、人工関節のゆるみなどのリスクがあると聞きました。詳しく教えてください。
感染
関節内が無菌状態であるため、関節にメスを入れる手術では感染のリスクがあります。
感染のリスクは一般に1%~3%程度と言われており、感染すると、患部の腫れや痛み、発熱を伴います。
当股関節センターでの発生確率は0.3%です。

血栓・塞栓
手術中や術後に、血管内に血の塊(血栓)ができることがあります。この血栓が他の血管に飛んでいき、臓器への血流をふさいでしまうことを塞栓症と言います。下肢の静脈に血栓ができる深部静脈血栓症や、その血栓が肺に到達してしまう肺塞栓症などがあります。太もも、ふくらはぎ、ひざ裏、足首などが腫れてきたり痛みを感じるなどの症状が現れます。当股関節センターで治療を受けての発生確率は0.013%です。

脱臼
骨盤のおわん(臼蓋:きゅうがい)と太ももの骨(大腿骨:だいたいこつ)のボール(骨頭:こっとう)のかみ合わせが外れてしまうことです。人工股関節の方が臼蓋にあたるパーツがやや浅く、術後は関節包と呼ばれる関節を覆っている袋が一時的に機能しなくなるため、脱臼しやすくなっています。日常生活において無理な態勢を取らないようにすることで大切です。当股関節センターを退院後の発生確率は0.08%です。

骨折
人工関節を取り付ける際に骨折する場合と、術後の転倒や強い衝撃によって骨折する場合があります。
当股関節センターでの術中骨折の発生確率は0.0078%、入院期間中の術後骨折の発生確率は0.0052%です。退院後は、患者様ご自身に、転倒しないよう十分注意していただく必要があります。

人工関節のゆるみ・破損
感染によって骨の一部が溶けてしまった場合や、人工関節のポリエチレンや金属の摩耗粉によって骨が溶けたり細胞に炎症を起こしてしまったりした場合、人工関節と骨の間にすきまが生じることがあります。また、強い衝撃が加わったりした場合、人工関節が破損することもあります。手術後も定期的に医師に診察してもらうようにしましょう。
人工関節置換術を受けた後、どのくらいで退院できますか?
全国的には3週間前後の入院されることが多いようです。当股関節センターでは全体平均10.5日(合併症なしの場合9.4日、合併症ありの場合21日)後に退院しています。
手術後のリハビリはどのようなことをしますか?
手術後のリハビリは、筋力強化、関節の動く範囲を広げる訓練、立ち上がったり、歩いたりする訓練を行います。
詳しくは股関節センターでのリハビリテーションをご覧ください。
両側の股関節が痛いです。2回手術を受けなければいけないこともありますか?
両側の股関節に手術が必要となった場合、両側の手術を1回(1日)で行うことがあります。
1回で両側とも治療することができるため、手術と入院が1回で済み、片側ずつ手術を実施する場合と比べ、日常生活に早く復帰できます。
両側の治療を1回の手術で行う場合、手術による患者様の負担が増加するため、すべての患者様に対して施行できるわけではありません。一人一人の状態をしっかりと診察した上で、治療の選択肢の一つとしてご紹介しております。
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