膝・スポーツ外来(予約制)再生医療 APS(次世代PRP)療法

変形性膝関節症に対する再生医療次世代PRPを用いたAPS療法

PRP治療とは

PRP治療は、ご自身の血液から抽出したPRPや濃縮PRP(APS)を患部に投与することにより、患部の疼痛の軽減と軟骨破壊を抑えることを目的とした治療です。
PRPはPlatelet(プレートレット)-(-)rich(リッチ) Plasma(プラスマ)を略した名称で、日本語では多血小板血漿と言います。
PRPは血液から血小板を濃縮することにより、血小板に含まれる活性の高い成長因子を多く含みます。血小板は血液1μLに10~40万(個)含まれて、血液全体に占める割合は1%以下と言われています。
血小板は、血管が傷ついたとき、傷ついた場所に集まって血を固める働きがあります。その際、血小板から多量の成長因子が放出されます。この成長因子は、傷ついた組織の修復を促します。
血小板の放出する成長因子の効果により、組織の修復が早まったり、治りにくい組織の修復や保護効果が期待されます。
この効果を利用する治療方法がPRP治療です。PRPには組織修復を始める働きはありますが、どのような組織を作るか指示する働きはありません。
そのため、PRP治療の後、治療効果を期待する組織の種類によって、後療法(PRP治療の後に行う運動など)が変わります。


濃縮PRP(APS)とは

関節症の関節内では、軟骨の破壊成分を作り出す炎症性サイトカイン(IL-1,TNFα)という悪いタンパク質の働きが活発になっていますが、私達の体の中にはこの働きを抑える良いタンパク質(IL-1ra, sIL-1R,STNF-Rl, STNF-RⅡ)も存在しています。
濃縮PRP(APS)とは自己タンパク質溶液、 Autologous(オートロガス) Protein(プロテイン) Solution(ソリューション)の略称で、患者さまご自身の血液から炎症を抑える良いタンパク質と軟骨の健康を守る成長因子を高濃度抽出したものです。
濃縮PRP(APS)は血液からPRPを分離し、専用の医療機器でさらに濃縮加工を加えることで、関節症の治療に有効といわれる成分を高濃度に抽出するため、次世代PRPとも言われます。


当院では「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」第40条第1項の規定に則り、特定細胞加工物製造届出を行い、細胞培養加工施設としての認可を受け、「再生医療等提供計画」に関する届出を関東信越厚生局に提出し受理されております。


治療が適応となる疾患

変形性関節症やスポーツ外傷とされています。その他、腱の付着部炎に対しても他の治療法に抵抗する場合などに勧められることがあります。
膝の変形性関節症では、疾患が進行することによって半月板の損傷や、靭帯のゆるみなどバランスが崩れ軟骨がすり減って膝が変形していきます。
痛み止めの内服やヒアルロン酸の関節への注入など従来の治療法で効果がなかった患者さんのなかには、PRPやAPS治療によって症状が改善する場合があることがわかっています。

次世代PRP APS療法イメージ

変形性膝関節症に対する再生医療次世代PRPを用いたAPS療法<視聴時間:約1分36秒>



治療の方法

本治療では、人への治療に使用することが認められた医療機器である本治療専用の遠心分離機と専用チューブ(GPSⅢシステムまたはAPSキット、どちらもジンマーバイオメット社製)を用います。
治療に使用するキットについては、患者さまとご相談し、同意を得た上で決定します。

治療対象基準

次世代PRP治療を受けられる患者さま


  1. 保険適応の標準的治療で改善が見られない変形性関節症を有する患者さま
  2. 手術による組織修復を希望しない患者さま
  3. 外来通院が可能な患者さま
  4. 下記の治療を受けられない人に該当せず、この治療に対して文書による同意を得られた患者さま
  5. 満16歳以上でこの治療への理解が十分あり、医師が治療できると判断した患者さま。ご本人が未成年者の場合には、ご本人さまの同意に加え、代諾者様の同意もある患者さま

次世代PRP治療を受けられない患者さま(除外基準)


  1. がんと診断され、治療を受けられている患者さま
  2. 活動性の炎症を有している患者さま
  3. 1ヵ月以内にこの治療を受けたことのある患者さま
  4. 投与周辺部に明らかに感染症を有する患者さま
  5. 重篤な合併症(心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病及び高血圧症など)を有する患者さま
  6. 薬剤過敏症の診断を受けたことのある患者さま
  7. この治療について理解が得られていない患者さま
  8. その他、担当医がこの治療を行うのが不適当であると判断した患者さま

治療の長所・メリット


  1. PRP、濃縮PRP(APS)の投与により、疼痛の改善効果が期待できます
  2. 患者さまご自身の血液を用いるため、アレルギー反応などのリスクが極めて低い治療です
  3. 日帰りでの処置が可能です
  4. 治療後から普段の生活が可能です
  5. 治療手技が簡単で、治療痕が残りにくいです
  6. 何度でも受けることができます
  7. 超急性期、急性期、亜急性期、慢性期のどのタイミングでも受けることができます

治療の短所・デメリット


  1. 変形性関節症を根本から治す治療ではありません
  2. 患者さまご自身の血液を用いるため体調や年齢に左右され、場合によっては安定した効果が出にくいといった欠点があります(治療効果・効果の持続期間には個人差があります)
  3. 数日間、炎症(痛み、熱感、赤み、腫れ)を伴う場合があります
  4. 一度に広範囲の治療を行った場合、硬さ・しこりが残ることがあります
  5. 通常よりも多い採血量になりますので、採血の際にめまいやふらつきが起きる可能性があります
  6. 投与箇所、採血部に感染症が起こる可能性があります
  7. 適切な物理負荷を加えないと、治療部位が硬くなり長期的な痛みの元になる可能性があります
  8. この治療は社会保険や国民健康保険など公的医療保険の適用を受けることができません


治療にかかる費用について

この治療は公的保険の対象ではありませんので、当施設にて実施される治療及び治療に必要な検査などの費用は全額自己負担となります。
PRPを用いた治療(GPSⅢシステム使用)における施術料 100,000円(税抜)/回
濃縮PRP(APS)を用いた治療(APSキット使用)における施術料 270,000円(税抜)/回

APSキットにより製造される濃縮PRP(APS)を用いた治療では、半年~1年以上の治療効果が期待できる一方で、GPSⅢシステムで製造したPRPを用いた治療では、複数回の投与が必要となる場合があります。
ご不明な点は医師・スタッフにお尋ねください。


採血後のキャンセル料 
PRPを用いた治療(GPSⅢシステム使用) 60,000円(税抜)
濃縮PRP(APS)を用いた治療 162,000円(税抜)

その他治療についての注意事項

 

患者さまの体調が良くない場合や、採取した血液の状態によっては、PRPを分離できないことがあります。その際には、再度採血をさせていただく場合があります。
また、本治療に使用する機器は定期的にメンテナンスを行っていますが、突然の不具合発生により、治療の日程やお時間を変更させていただくことがございますので、ご理解の程お願いいたします。


お問合せ先(相談窓口)

 

この治療の内容について、わからないことや、疑問、質問、もう一度聞きたいこと、さらに詳しく知りたい情報などがございましたら、遠慮せずにいつでもお尋ねください。治療が終わった後でも、お答えいたします。
健康被害や不安なことがあれば、休日や夜間でも電話を受け付けます。緊急を要すると判断した場合には医師が対応いたします。

公益財団法人 日産厚生会 玉川病院
実施責任者:柳澤 克昭
問い合わせ先:整形外科外来
連絡先:03-3700-1151(代表)


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