乳腺外科頻度の高い主訴

頻度の高い主訴

乳房のしこり(良性、悪性)

ひとくちにしこりといっても、良性と悪性があり、悪性疾患には、乳癌、悪性リンパ腫、肉腫、悪性葉状腫瘍などがあり、良性疾患には、線維腺腫、葉状腫瘍、過誤腫、嚢胞などと大変バリエーションが豊富です。
画像診断(マンモグラフィ、超音波)である程度、即日診断が可能です。最終的には細胞診や組織診などの検査が必要となることがあります。(これらは結果がでるまで、数日から約1週間かかります)

乳頭分泌(乳管内病変)

検診の際に乳頭分泌を認めることは決して珍しいことではありません。そのなかにごく僅かですが、分泌のみでみつかる癌 (非浸潤性乳管癌など)、があるため確認が必要です。乳管内乳頭腫などの良性疾患の頻度も高いので、分泌がある場合には,乳管造影,乳管内視鏡、細胞診などの検査によって慎重に検査する必要があります。

乳房の痛み(乳腺症)

乳房痛の原因で最も多いと思われるのは乳腺症です。乳腺症は、臨床的には主として成熟期女性にみられ一側または両側の乳房に大小不同の結節性の硬化性腫瘤として触れるもので、病理学的には非炎症性,脾腫瘍性の増殖性病変の範疇にはいります。発生には相対的エストロゲン過剰を基調とする内分泌平衡異常が関与していると考えられています。
良性の変化ですので、基本的に薬物治療も手術も必要ありません。しかし、痛みが非常に強い場合には、ホルモンバランスを整える漢方薬などを用いています。この治療では随伴する生理不順や、更年期症状にも効果が見られます。
まれに乳癌で痛みを伴うことがありますので、痛いから大丈夫とは言えません。くれぐれも勘違いしないで下さい。

術後の経過観察および再発治療

乳癌は手術後、10年~15年に再発することもまれではありません。このため術後経過の観察が大事です。
再発に対しては,集学的に(個々の乳癌に至適な薬剤の選択、再発臓器に適した治療法の選択を行って)治療をしています。

腋窩の痛み、腫瘤(副乳、リンパ節の腫脹)

乳房にはあきらかなしこりも分泌もないのに、腋の下のリンパ節が腫れてみつかる乳癌(occult cancer:潜伏癌、といわれていいます。)があります。また副乳にしこり(悪性、良性疾患ともに)が出来ることもあります。

検診目的

検診の有用性が問われていますが,非触知乳癌(触診では発見できない癌)が、超音波やマンモグラフィで発見される事実がありますので、今後は画像診断を併用した検診が主流となると思われます。(ただし、世田谷区における検診では、画像診断を受けていただく場合には別途診察料を頂きます)

他院からの second opinion

乳腺疾患の診断および治療において、患者さんが複数の施設および医師の意見を聞くことを望むケースが増えています。特に温存治療の可否をめぐって相談に来ることが多いようです。

授乳期乳腺の発熱、疼痛(乳腺炎)

一般的には授乳期乳腺において良く生じるで乳腺炎ですが、ときとしてそれ以外にもおきることがあります。授乳期においては搾乳が重要となります。また炎症の程度がひどくなった場合は切開して膿みを出す必要があります。
この時いちばん気をつけたいのが炎症性乳癌といわれる質の悪い乳癌との鑑別です。

女性化乳房

思春期,高齢期に多い男子乳腺の肥大。ときに薬剤性,肝機能障害に伴うものがあります。
まれに男性の乳癌もありますので診察、検査が必要です。

このような症状、気にかかるようなことがありましたら、乳腺外科までご連絡ください。

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