脳卒中
Q.1 脳卒中とはなんですか?
脳卒中とは脳の病変で卒(そつ(突然))に中(あた)る(倒れる)こと、つまり突然に脳に何かが起きてたおれてしまうことです。この言葉は脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血といった脳血管障害と呼ばれる疾患の総称です。(ちなみに脳梗塞は脳血栓と脳塞栓の総称です。
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Q.2 脳卒中になりやすい病気はありますか?
危険因子と言われる脳卒中を起こしやすい病態としては高血圧、糖尿病、高脂血症、心疾患(心筋梗塞後、心臓弁膜症、心房細動などの不整脈など)、喫煙、肥満などが知られています
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Q.3 麻痺はどうしておきますか?
脳卒中により大脳運動野にある一次運動ニューロンと呼ばれる神経細胞から脊髄の二次運動ニューロンに伝わる神経の経路に損傷がおきるために麻痺が起きます。いわば電線の配線が切れてしまうようになり手足などが動かせなくなります。一般に大脳に病気がおきた場合はおきた側の反対の麻痺が生じます。顔面、舌、のど、上肢、下肢などの片側すべてに麻痺がおきることから片麻痺と呼ばれます。
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Q.4 脳卒中の時どのような検査をしますか?
診察して脳卒中が疑われる場合はX線CTやMRIと呼ばれる検査を行いその病気の性質と場所を確認します。この他意識障害をおこす他の疾患を区別するために血液検査などが必要です。
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Q.5 CTやMRI検査で何が分かりますか?
発症直後でも出血性の病変(脳出血、クモ膜下出血)は頭部CTで出血の部位、大きさは分かります。脳梗塞の場合は発症直後にはX線CTでは分からないことがありますが、24時間後には明らかとなります。脳梗塞では超急性期と呼ばれる時には#頭部MRI拡散強調と呼ばれる特殊な撮影の仕方やMRアンギオと呼ばれる脳の動脈の血管の流れを見る検査が有効です。このような検査によりどの血管が詰まっているかが推定でき、場合によっては詰まった血管を再開通させる治療を試みることができます。
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Q.6 頭の検査はどれくらいの頻度でやればよいですか?
一旦病気になってしまえば、その経過を追うために(出血の拡大がないか、脳のむくみの程度はどうか)検査が必要です。慢性期となった場合は一般には新しくなにか症状が出現しない限りは定期的に行う必要はありません。CT、MRIの検査は今のところ病気がおきる場所を予測することはできず、なにか起きた結果しかわかりません。
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Q.7 脳卒中の急性期治療はどのようなものがありますか?
脳卒中では一般に呼吸状態、血圧管理などが必要です。このほか脳の損傷に伴い脳浮腫という脳の腫れが生じるためこれに対して脳圧降下目的に高浸透圧液を用い、脳組織の脱水を行います。血液脳関門の機能している部位の脳に貯留する水分を取り除くとされ、脳血液関門の破壊された脳梗塞部位では水分除去が十分では無いという意見もある。グリセオールとマンニトールがあるが、一般にはグリセオールが使用され、マンニトールは脳ヘルニアの進行する時や、手術を前提とした時に用いられます。
また脳梗塞急性期にはしばしばストレス性の潰瘍を引き起こし、上部消化管に浅い潰瘍が多発する。特に抗血栓療法などを行っている場合には消化管出血が全身状態を悪化させることになり、予防的な抗潰瘍薬の投与が行われます。
急性期には嚥下障害もまれならずあり、無理な経口摂取が嚥下性肺炎を招くこともあり、注意が必要です。安静臥床を保たせるためと酸い分量のin-outをチェックするためにバルーンカテーテルを挿入し排尿管理します。このほか、便秘は思わぬ障害を招くことがあり、排便コントロールも必要に応じ行います。
<外科的治療>
クモ膜下出血の場合には開頭し出血をおこした動脈瘤を特殊なクリップで止め治療します。全身状態により手術をいつやるかは異なります。最近になり血管内カテーテルで処置する方法もありますがすべてに適応できるわけではありません。
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脳出血の場合には小さいものであれば保存的に手術することなく経過を観察します。しかし出血が多く大きな血の固まりが出来ている時には脳が圧迫され生命に関るため開頭して血の固まりを除去したり、吸引したりします。
脳梗塞ではその病型により多少治療法が異なります。
<脳梗塞の内科的治療、予防薬について>
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1)進行性脳梗塞、crescendo TIA crescendo TIAと呼ばれるTIAが頻発しどんどんとその発作の持続が長くなっている時や、動揺性あるいは進行性脳梗塞など血管がまさに閉塞しかけているような状況(脳底動脈血栓症)などでヘパリンが用いられます。
2)アテローム血栓性脳梗塞
抗トロンビン薬であるアルガトロバンは発症後48時間以内の脳血栓症(アテローム血栓性脳梗塞)で有効性が示されています。
3)ラクナ梗塞
オザグレルは特に穿通枝系の脳梗塞(ラクナ梗塞)に有効であるとされています。
アルガトロバン、オグザレルともに梗塞巣周辺の血流低下部位での血栓形成を防ぎ、微小循環を保たせることで脳組織を死から生に向かわせる目的で用いられます。
4)脳塞栓
主に心房内に生じるフィブリン血栓がその原因であり、抗凝固療法が用いられます。脳塞栓急性期には再塞栓を起こす可能性が高く、特に14日以内に多いとされます。その予防にはヘパリンが用いられます。この投与によって再発作の頻度を減少させることは間違いないのですが、一般に脳塞栓は大梗塞であることが多く、出血性梗塞や、他の出血性病変の新たな出現が問題となる。本療法は大規模な無作為化比較対照試験は行われていませんが肯定的意見は多く、定着してきています。
<血栓溶解療法> 血小板血栓そのものに効果があるとは思われないのですが、血小板血栓に続発してフィブリン血栓が形成されてゆく場合には効果が望まれます。現在保険点数上ではウロキナーゼ6万単位7日間の使用が認められていますが、現在では有効とは考えられてはいません。組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)が次世代の血栓溶解薬として期待されますが、日本でもようやく保険適応となりました。症例を選択しないと再開通による脳内大出血を招く可能性があるとされ、発症後3時間以内の投与などその使用に制限は多い薬剤ですが、うまく効けば症状の著明な改善を望めます。
<血栓溶解療法の現状と将来につき詳しく知りたい方はこちらへ>
脳保護剤 最近開発された薬剤でフリーラジカルスカベンジャーという薬効を持つラジカットという薬品が、脳に障害を生じたときにその被害を最小限にとどめる目的で単独使用あるいは、併用で用いられます。
低体温療法
低温では酵素反応のスピードが低下し、細胞内の反応を遅らせることが可能であることから脳梗塞での神経細胞変性を遅延させる目的で行われます。最近は軽微低体温療法という脳温を33度程度に保つ方法が試みられています。
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Q.8 脳卒中になった後どのような予防方法がありますか?
脳出血は高血圧が基盤となっていることがほとんどであり、血圧を正常に下げることが必要です。このために食事で塩分制限をしたり降圧薬を服用したりします。 脳梗塞の中でラクナ梗塞では特に高血圧が関与するとされ先の脳出血と同じく血圧を下げることが重要です。その他の脳血栓では血小板機能、動脈硬化が関与していることから抗血小板薬(小児バファリン、パナルジン)を中心として病態により降圧薬、抗高脂血症薬などが必要となります。この他糖尿病、肥満などがあればその治療を、また喫煙は中止するように努力してください。
脳塞栓では心臓に血栓ができることが問題であり、抗凝固薬としてワーファリンが使われます。
<抗凝固療法の適応と実際詳しく知りたい方はこちらへ>
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