ホーム > 診療科のご案内 > 股関節センター > 診療内容について > 股関節疾患について > 股関節手術について
股関節の手術法である人工関節置換術、寛骨臼回転骨切り術について説明します。
■はじめに
主に進行期から末期股関節症に対し行われる治療法です。特徴としては、股関節の疼痛除去が得られるほか、手術時に脚長補正(両足の長さをそろえること-当科では、自覚的な脚長差を主体として補正している)が得られます。この脚長補正と除痛によって術後の歩容(歩き方、歩く姿勢)の改善が得られます。
当科では、主としてハイドロキシアパタイト・コーティングセメントレス(マイクロテクスチャード)人工股関節置換術(骨セメントを使用しないタイプの人工股関節で、骨と接合する表面に骨侵入が可能な表面加工が施されている)を行っています。
生体内に入れた人工関節の耐久年数については、われわれの経験では、15~20年程度ですが、これには個人差があり、使用頻度によっては、10年以内に再置換術を施行する場合もあり得ます。
また、逆に使用法によっては一回の手術により20年以上にわたりゆるみを来さない場合も多く、手術後も定期的な経過観察が必要です。
これらのことは、国内および海外の股関節学会、人工関節学会でも同様な報告がなされており、特にハイドロキシアパタイト・コーティングされているものは初期固定に有効であるとされています。
現在用いられている人工関節材料では、表面に骨が侵入できるようになっているものは明らかにそうでないものに比し成績が良好です。したがって、上記のような条件を満たすような人工股関節を用いれば、理論的には、どれもその結果に大きな差異はないと考えられます。すなわち、特殊な人工関節のみが耐久性が長期にわたるということはないと言えましょう。
しかしながら、人工関節の術後の耐久性を決定する条件としては、如何によい人工関節を選択するかということのみではありません。すなわち、どんなに良い人工関節でも高い技術を持って人体に設置できなければ、長期間の耐久性を望めないばかりか、かえって短期間に何度となく手術を繰り返さなければならなくなるため、人工関節挿入の技術・技量は非常に重要であると考えられます。しかしながら、これらの技量を数値化することは現在のところ不可能です。
また、これらの技術は、施設というよりは、むしろ手術を行う医師の技量と考えた方が良いことは、米国の研究でも明らかにされていることから、誰が執刀するのかということも重要でしょう。
■入院期間について
当科では、入院期間は、片側手術で平均13日、両側手術で平均21日(術前1~2日、術後10~18日)です。
■輸血について
骨の手術をすると多少の出血はあります。当科では、全例自己血輸血(術前貯血:片側手術例:0~400ml、両側同時手術例:400~800ml)による手術を行っており、他家血輸血(他人の血の輸血)は、特殊な例を除き1993年以降行わずに手術を行っております。
■入院期間とリハビリについて
人工膝関節置換術、人工股関節置換術の場合、まず入院に先立ち自分の血液の貯血や全身の検査のため1~2週間(週一回の来院で)を要します。膝、股関節の手術では術中および術後に500cc程度の出血が予想されますので、術前に自分の血液を貯血しておき、必要な場合には術中および術後に貯血した自己血を体にもどします。人工股関節や人工膝関節手術における手術後のリハビリは、手術翌日あるいは翌々日から開始しております。
離床は、原則として手術当日に行います。ただし、手術からの帰室が夜になった場合には翌日離床(車椅子乗車)としています。これは、術後早期よりリハビリを開始することにより、深部静脈血栓を作りにくくすることにも役立ちます。
歩行訓練は、術翌日から全荷重で行います。退院の目安は、手術前にできたことがほぼできる状態としております。したがって、通常は手術後2日~10日程度で退院が可能になるまで回復します。
■人工関節の長所は?
何と言っても日常生活において、関節に痛みをおぼえること無く生活ができるということです。さらに、手術前に比べて股関節(足の付け根)の動きが改善したり、歩き方(歩容)が安定(跛行がとれる)します。また他の手術法(骨切り術など)に比べて治療の効果が確実で、治療期間も短く 、人工股関節の場合、短期間の入院でこれが可能になるということです。
■人工関節の短所は?
人工物であるがゆえの弱点というものがあります。これは、手術後早期に起こる問題と術後数年以上経過した後に生じる問題、そのどちらも起こる問題などがあります。これらについては、人工股関節の合併症の項で具体的に述べます。
■手術後の生活
膝、股関節の場合、正座などは、手術前にできていれば術後も可能です。しかしながら早期の摩耗等の危険を避けるため、できれば手術後は洋式の生活(ベッド、椅子、洋式トイレなど)をお奨めします。スポーツの制限は特に設けておりませんが、人工関節の摩耗という観点から、ジャンプや全力疾走、山登りなどはおすすめできません。長期間良好な生活を続けるためには、水泳やゴルフ、軽いウォーキング程度が良いのではないでしょうか。

