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1989年当院東館増築に伴い同年5月15日より透析室が開設され、2003年10月から透析センターとなりました。
職員構成は、透析科常勤医師2名、非常勤医師3名、臨床工学科技士長以下技士13名、看護科長以下看護師9名、医療事務1名で、透析室業務に携わっています。透析医療はチーム医療が基本となりますが、医師、技士、看護師のチームワークも大変よく、患者さんの立場にたって、何がその人に一番いい医療なのかを考えながら、安心で安全な透析医療を提供できるよう、日々努力しております。
血液透析センターは現在20床で稼働しており、月・水・金は、午前9時開始、午後3時開始の2ク-ル、火・木・土は1ク-ルで行っております。受け入れ可能患者数(定員)は60名です。
透析患者さんの病状管理は透析治療とともに合併症との戦いです。循環器科、糖尿病科、消化器科、整形外科、外科、皮膚科など院内のいろいろな科と連携し早期に治療出来るよう努めております。さらにさまざまな合併症の治療のため、近隣施設からの透析依頼が増加してきており積極的に受け入れております。
また東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科、循環器内科、心臓血管外科等と連携して、腎生検による診断や心血管合併症の高度治療に対応しております。
1998年より透析療法のもうひとつの柱である腹膜透析療法を開始し、要介護高齢透析患者さまにも積極的に勧めております。また、透析導入の初期には腹膜透析を選択し、その長所である残腎機能を保持し、安定した循環動態が得られることを十分生かすためのPDファーストを推進しております。
近年、わが国には慢性腎臓病(CKD)の方が大変多いことが指摘されておりますが、当院では心血管合併症を減らし透析導入を遅らせることを目的として、毎年腎臓病教室を開催し地域におけるCKDに対する啓蒙活動を行い、さらに一人一人に対しても、その病状に合わせて腎臓病の解説や薬剤・栄養指導を行っております。
血液浄化療法 :
血液透析療法が主体ですが、血液濾過療法(HF)や血液透析濾過療法(HDF)なども行っています。その他閉塞性動脈硬化症に対するLDLアフェレ-シス、潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法(LCAP療法)、薬物中毒における血漿吸着療法や劇症肝炎に対する血漿交換療法、腹水濃縮灌流など様々な浄化療法を施行しております。また透析困難症の方にはアセテートフリー透析液(カーボスター®)も使用しております。
さらに透析液の清浄化に力をいれており、透析の長期合併症や残腎機能の維持に最適なオンラインHDFを導入いたしました。かゆみやいらいらの強い方や手根幹症候群でお困りの患者さんに行っております。→トピックス参照
外来診療 :
内科外来にて水曜、木曜の午前と火曜、金曜の午後を常勤医師が担当し、腎疾患・循環器疾患を中心に診療しております。月曜と水曜午後には腹膜透析患者さん専門の外来診療を行っております。→トピックス参照
また慢性腎臓病(CKD)の方を対象に、保存期CKD外来を開設しております。腎臓病専門看護師が主体となって、薬剤師、管理栄養士とともにその方の病状に応じた腎臓病対策、薬剤・栄養指導を行っております。→トピックス参照
入院診療 :
末期腎不全となった方に対しては、腎移植が不可能な場合は血液透析か腹膜透析かどちらを選択されるか充分説明し、納得していただいた上で治療を開始いたします。入院後バスキュラーアクセス手術や腹膜透析用カテーテル挿入術、透析療法の指導・教育を受けていただいております。病棟と透析室、栄養科と連携し栄養指導や疾患についての患者教育を行っております。
血液浄化療法にかかわるほか、ME機器管理、心臓カテーテル検査やペースメーカーの補助業務、手術室業務、さらに最近、腹膜透析関連装置の保守・点検などを開始し、腹膜透析療法にも積極的にかかわっております。
日本透析医学会認定教育関連施設
日本腎臓学会認定専門医研修施設
オンラインHDFとは通常行うHD(血液透析)に濾過(Filtration)を加えた治療法で、体外循環中に補液と濾過を多量に行うことで、血液透析では取り除きにくい低中分子蛋白物質を取り除くことができます。そしてオンラインHDFでは濾過に必要な補液として透析液をそのまま使用します。したがって清潔で純粋な透析液を使用することが義務づけられております。当院では透析液の清浄化に力を入れて、よりきれいな透析液を患者様に提供するために日々取り組んでいます。その結果、日本透析学会が提示している透析液清浄化ガイドラインの中でも、最も厳しい基準をクリアしています。
長期透析の合併症にアミロイドーシスがありますが、これはβ2-ミクログロブリンという物質が関節や骨に沈着して神経を圧迫し、手の親指から中指にかけて痛みやしびれが出現する症例で、進行すると手術が必要になります。このアミロイドーシスの原因であるβ2-ミクログロブリンを積極的に取り除き、合併症を予防することができるのもオンラインHDFの特徴です。
【臨床効果について】
短期的臨床効果
- 骨・関節症状の改善
- 皮膚掻痒感の改善
- イライラ感(むずむず足)の改善
- 食欲の改善
- 透析困難症の改善(透析中の血圧安定)など
長期的臨床効果
- 透析アミロイドーシス進行の抑制、発症の遅延
- 栄養指標の改善
- 動脈硬化進行の抑制
- 生存率の向上など
このような臨床効果が期待される患者さまには積極的に行っていきたいと考えております。
当院では腹膜透析療法(PD)を1998年から本格的に開始しました。これには無菌接合装置(テルモ社製むきん君、むきんエース)の登場によりバッグ交換が無菌的に確実に行うことが可能となりPD関連腹膜炎の発症が少なくなったこと、自動腹膜灌流装置(テルモ社製マイホームPD:ピコ)にて夜間就寝中に透析液の注排液が可能(APD)となったことが大きな推進力となりました。当初は慢性血液維持透析患者さまで糖尿病性壊疽による下肢切断や、脳血管障害による四肢麻痺にて通院困難になった方を、長期入院治療ではなく、なんとか在宅で御家族といっしょに過ごしていただきたいと考え腹膜透析治療を開始いたしました。いわゆるPDラストの考え方で、要介護高齢透析患者さんには夜間のAPDを選択の一つとして勧めています。
一方、PDファーストは透析導入のはじめに腹膜透析を選択し、その長所である残腎機能を保持し、安定した循環動態が得られることを十分生かした後に血液透析に移行するという治療方法です。最近は積極的にPDファーストを実施しておりますが、このきっかけになったのは、新しいPD導入法としてのスマップ(SMAP)法やスピード(SPIED)法が提唱されてきたことも要因の一つです。この方法はカテーテル関連合併症が少ないことに加え、計画的・段階的に導入が可能なため、入院期間が短くてすみ時間的、経済的負担も少ない利点があります。
当院ではこのスピード法を取り入れ、PDファーストとしての導入患者さんが増えつつあり、ご高齢の患者さまも社会復帰をされ、入院前とほぼ同じような日常生活を送っておられます。また残腎機能が保たれているため、低濃度の透析液が使用可能で、バッグ交換も少ない回数で十分な方や、APD治療時間の短い方もおられます。治療に使用する装置の操作や点検は、医師・看護師・臨床工学技士が一体となって指導・援助をいたしますのでご安心下さい。
内科外来にて腹膜透析専門外来診療を行っておりますので積極的に腹膜透析を希望される患者さまはもちろんのこと、高齢で介護が必要となり、血液透析施設に通院困難で在宅治療を希望される方はどうぞお気軽に御相談下さい。
慢性腎臓病(CKD:シーケイディ)という言葉を御存知ですか?
腎臓の主な働きは体内のゴミと水分の処理ですが、血圧や貧血、骨代謝にも関わるとても重要な臓器です。CKDは病名ではなくこの腎臓の働きが徐々に悪くなった状態ですが、蛋白尿が持続して出ていたり、機能が軽度低下している方(正常の60%未満)を含めると、日本成人の約1000万人にも認められることがわかりました。腎臓の働きが悪くなると透析治療を受けないと命が保てない状態になる方もおられますが、透析のみならずむしろ脳卒中や心臓病といった心血管系の病気にかかる方が多く、さらに早期発見により治癒が可能な病気であることもわかってきました。腎臓が悪くなる原因は腎炎のような腎臓そのものの病気だけではなく、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、メタボリック症候群など様々な病気も関係しています。
当院透析センターでは、薬剤科と栄養給食科とともに、このような保存期(未だ透析治療を受けていない)腎臓病の方を対象に、2007年から年に一度腎臓病教室を開催し、CKDに関する啓蒙活動を行ってまいりました。
さらに2009年より保存期CKD外来を開設しました。腎臓病専門看護師が主体となって、薬剤師、管理栄養士とともにその方の病状に応じた腎臓病対策、薬剤・栄養指導を行っております。
腎臓病対策は早期発見、早期治療が重要です。健診で検尿に異常を言われた方や腎臓の働きが弱っていると言われた方、特に血圧や血糖値、コレステロール値が高くて蛋白尿が出ている方は是非遠慮なく御相談下さい(連絡先:内科・薬剤科・透析センター)。

