その他の科麻酔科

玉川病院

麻酔科について

麻酔科医の仕事は、手術前に麻酔薬を注射するだけではありません。最大に任務は、手術や検査を受けられる患者さんの生命を守ることです。患者さんの意識がない全身麻酔の間も、絶えず患者さんの傍で、呼吸や循環の管理、疼痛や鎮静の管理を行っています。麻酔科医は、患者さんの手術が安全に行えるように、また手術後もなるべく苦痛がなく過ごせるように、手術をする各診療科の医師と協力して診療にあたっています。

玉川病院は社団法人日本麻酔科学会認定病院です。当院での全身麻酔管理および局所麻酔管理症例の中でも必要な症例については、すべて社団法人日本麻酔科学会認定の指導医または専門医、厚生労働省の認める麻酔科標榜医資格を持った麻酔科医が担当しております。
また、手術室には臨床経験豊富な看護師が配属されています。
さらに、高性能の麻酔器、患者観察装置などを備え、手術室専従の臨床工学技士による毎日の点検と、法令および日本麻酔科学会に勧告に基づく整備を実施し、万全の維持管理を実施しています。

手術予定の患者さんは、原則として麻酔科術前外来を受診していただき、患者さん固有の合併症や手術内容を確認の上で麻酔方法を決定し、リスクも合わせてご説明しております。このように玉川病院麻酔科では、多くの職種と協力して、安全な麻酔管理を心がけています。

当院で診療する主な疾患について

  • 麻酔管理が必要な全手術症例(一部検査症例も含む)
  • ペインクリニック(疼痛コントロール)、緩和ケア、集中治療(重症患者管理)など、麻酔科がお手伝い可能な分野につきましては、将来的に順次対応させていただくつもりです。

その他

2013年度の玉川病院手術症例は総数3006件、うち麻酔科管理件数は2366件でした。手術件数、麻酔科管理件数ともに毎年増加しています。
気胸、股関節、ヘルニアといった玉川病院で得意とする分野のみならず、高齢者の外傷、悪性疾患などの件数もすべて増加傾向にあります。安全な麻酔管理に向けた努力が一層必要であると、気持ちを引き締めております。
ところで、安全な麻酔管理のためには、患者さんのご協力がどうしても必要です。玉川病院で手術を受ける患者さんの安全確保に対する麻酔科の取り組みと、手術までの手順、患者さんへのお願いについてご説明します。なお、麻酔科診療で取得した個人情報は、個人情報保護法に沿って麻酔科診療に必要な範囲でのみ使用いたします。

手術を受けられる患者さんの麻酔科診療の手順

(緊急手術では、患者さんの安全確保を第一に考えて臨機応変に対応いたしますので、必ずしもこの手順通りにならない場合があります)

1. 麻酔科術前問診票の記入

手術予定が決定した時に、手術を担当する診療科(外科、整形外科など)の外来または病棟で、麻酔科術前問診票の記入をお願いしています。麻酔科術前問診票はこちらからもダウンロードできますので、あらかじめ印刷して記入していただいたものを、手術を行う診療科の受診時にご持参いただいても結構です。特に常用の飲み薬や吸入薬、過去のご病気や手術、現在治療中のご病気などがある場合、あらかじめまとめて記入していただければ、より正確な情報を麻酔科医に伝えられると思います。患者さんの健康状態に関する正確な情報が、患者さんの手術中、手術後の安全確保に大きな意味を持つのです。

麻酔科術前問診票(PDF)ダウンロード

2. 麻酔科受診および麻酔科医による術前訪問

手術日当日に入院する予定の患者さんは、手術を行う診療科(外科、整形外科など)を受診した日に、あらかじめ麻酔科を受診していただきます。術前に必要な検査を実施し、その結果が出てから、麻酔科受診となります。
手術前日に入院されている患者さんは、原則として、手術前日に麻酔科医が術前訪問を行います。(例:月曜日手術の患者さんは、前週の土曜日に麻酔科術前訪問)なお、様々な合併症をお持ちの患者さん、術前入院期間の長い患者さんの場合には、早めに術前訪問を行う場合があります。
麻酔科医が患者さんを訪問し、麻酔科術前問診票を参考にして、健康状態、手術する病気以外の合併症、過去に大きな病気にかかったことがあるかどうか、アレルギーの有無などをお聞きすると同時に、簡単な診察を行います。既に、病棟看護師や主治医に話された内容を再度聞かれるのは、時間の無駄、面倒と思われる患者さんもおいでになると思います。しかし、繰り返しお聞きすること、また、麻酔科専門医の観点からお聞きすることで、重要な情報が抜け落ちて患者さんの生命を脅かす事態を防いでいますので、ご協力をお願いいたします。
麻酔科医による問診と診察の後、必要に応じて玉川病院の循環器内科、脳神経内科などの受診もお願いすることがあります。

3. インフォームドコンセント(説明と同意)

麻酔科医による診察と問診内容、循環器内科等の受診結果と各種検査結果、手術内容を総合的に検討した上で、専門的立場から、患者さんに最適な麻酔法(全身麻酔、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔、神経ブロック)と手術前後の麻酔に関連したリスクに関して十分な説明を行い、患者さんから麻酔の同意を得ることとなります。特に麻酔法に関しては図を利用してできるだけわかりやすく説明するように努めています。そして、納得いただいた患者さんからは麻酔同意書にサインをいただいております。なお、未成年の患者さん、認知症や中枢神経系のご病気等により、説明内容を十分にご理解いただけない可能性のある患者さん等につきましては、保護者、ご家族またはご親族にご説明させていただきます。
麻酔法は、医学的に患者さんの安全が保たれる範囲で、患者さんのご希望にできる限り答えられる麻酔方法を選択します。手術中意識がない方がいい、あるいは手術中にずっと手術を見ていたいといったご希望は、遠慮なく麻酔科医にお伝えください。可能な限り適切に対応していきます。
麻酔に関する疑問や不安など何でも結構ですので、納得いただけるまで麻酔科医にお尋ねください。

麻酔に関する説明および同意書の見本(PDF)ダウンロード

麻酔に関する図示による説明書の見本(PDF)ダウンロード

4. 手術前日夕食後からの禁飲食

手術当日入院予定の患者さんは、ご自宅で手術前日午後9時以降は固形物、牛乳、ジュースなどの飲食をしないようにしてください。また、手術前日に入院されている患者さんには、手術前日午後9時以降(必要に応じてそれ以前から)の禁飲食をお願いしています。なお、飲水(ペットボトル入りの天然水、飲料水など)は午前中に手術開始予定の患者さんの場合には手術当日午前6時まで可能、午後に手術予定の患者さんの場合には午前10時まで可能としています。麻酔で意識がなくなった時に、胃にたまっていた食物などが食道を逆流して気管に入ってしまい、重い肺炎を引き起こす事態や、窒息という生命にかかわる事態を防止するためです。なお、患者さんの病態や手術内容によって禁飲食時間が異なる場合がありますので、麻酔科医の指示また必要に応じて各診療科主治医の指示に従ってください。

5. 前投薬(いわゆる基礎麻酔)は原則として実施しません

当院では、特に医学的に必要とされる場合を除き、原則として予め鎮静薬や鎮痛薬(前投薬、基礎麻酔)をお出ししておりません。鎮静薬や鎮痛薬に対する反応には個人差が大きく、呼吸が抑えられたり血圧が低下したり、めまいを感じたりすることがあり、ふらつきのためにトイレに行く際に転んだりする可能性もあるためです。さらに、当院では原則として手術室への歩行入室を実施しておりますので、ふらつきやめまいによる危険を防止するためでもあります。

6. 常用薬内服や吸入を手術当日朝まで継続する場合があります

気管支喘息、高血圧、糖尿病、甲状腺疾患などで内服や吸入をしておられる患者さんは、その薬を継続していただくようにお願いすることがあります。その場合、手術当日朝に、コップ1杯の水で内服薬を飲んでいただくこともあります。また、抗凝固薬などでは、数日以上前から中止する必要がある薬剤もあります。個々の患者さんの疾患や全身状態、服用する薬剤内容で決定いたしますので、麻酔科医または手術を担当する診療科の医師から詳しくご説明させていただきます。

7. 手術室入室は歩行、ストレッチャー、車椅子

手術室入室時刻になりましたら、手術室においでいただくことになりますが、歩行できる患者さんは、原則として歩いて手術室に入室することになります。ご家族や担当の病棟看護師と談笑しながら自然に歩いて手術室に入室することで、緊張がとれ、リラックスすることと、お元気な患者さんがストレッチャーやベッドで廊下を移動すると、めまいや不快感を感じる場合が多いためです。もちろん、歩行できない患者さんや、医学的に歩行が問題になる患者さんは、車椅子やベッドで手術室に入室することになります。歩行入室を希望されない方は、従来どおり、ストレッチャーやベッドで入室していただいております。

8. お名前の確認(患者さんご本人であることの確認をします)

手術室にお入りになる時に、患者さんのお名前と手術する部分の確認をさせていただきます。万一にも患者さんの取り違いや手術部位(左右)の間違いがないようにするためですので、ごめんどうでもご協力をお願いいたします。

9. 患者観察装置の装着

手術台の上に横になっていただいたあと、心電図(胸部にシールを3箇所貼ります)、血圧計(上腕に巻きます)、酸素飽和度測定装置(手指をクリップのような器械ではさみます)を取り付けます。その後必要に応じて点滴の確保、酸素吸入などを実施します。麻酔が始まるまでは、なんとなく不安があるかと思います。麻酔科医も手術室看護師も努めて明るくまた患者さんのお気持ちを考えて接しておりますので、どうぞご安心ください。また、何か気になる点がありましたら、どんな小さなことでも遠慮なく麻酔科医や看護師にお伝えください。

10. 麻酔開始(全身麻酔、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔、神経ブロック)

麻酔法には、全身麻酔(気管挿管、ラリンゲルマスク、フェイスマスクで気道を確保します)、硬膜外麻酔(術後持続鎮痛にも使用します)、脊髄くも膜下麻酔(いわゆる下半身麻酔です)、神経ブロックなどがあります。全身麻酔単独のほか、いくつかの麻酔方法を組み合わせて行うことがあります。麻酔方法につきましては、術前に説明図を示して、できる限りわかりやすく説明させていただいています。さらに、手術室でも患者さんの身体に消毒や注射などの処置をするときには、必ず声をおかけして、必要な説明をしながら麻酔処置を行います。

11. 手術中の麻酔科医

手術中、患者さんの意識がない全身麻酔中も、麻酔科医は常に患者さんの側で呼吸循環状態を見守っています。血圧の変化や呼吸の状態を常に観察することで、合併症の発症をできる限り早期に診断して、素早い対応ができます。全身麻酔といわれると何となく不安を抱かれる患者さんもいらっしゃることと思いますが、麻酔の安全性は確実に進歩していますので、ご安心ください。

12. 手術終了後

手術が終了した後、吸入麻酔薬や静脈麻酔薬を中止します。しばらくすると意識が戻ります。「目を開けてください。」「手を握ってください。」などと声をかけますので、指示通りに目を開けたり手を握ったりしてください。麻酔から覚醒していることを確認し、呼吸循環系の安定を確かめてから、気管チューブやラリンゲルマスクをはずします。その後、手術室でしばらく患者さんの様子を観察し、問題ないことを確認してから病室へお帰りいただくことになります。なお、患者さんの全身状態によっては、術後に人工呼吸が必要となる場合もありますので、その都度ご説明いたします。
手術後、必要に応じて患者さんの呼吸循環の管理や疼痛管理を、主治医と協力して行います。手術の翌日以降に、麻酔科術後回診として、患者さんのもとを麻酔科責任者が訪問させていただきます。麻酔管理上問題があったかどうかをチェックします。その際、気になる点がある場合には、どんな些細なことであっても遠慮なく麻酔科医にお知らせください。

以上、非常に簡単ですが、麻酔科診療手順について概略をご説明させていだきました。 患者さまが、安心して麻酔や手術を受けられる一助になれば幸いです。